令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 198,199

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問 198  正答率 : 61.0%
問 199  正答率 : 52.9%

 国家試験問題

国家試験問題
38歳女性。アレルギー性鼻炎で近医を受診し、処方1による治療を受けていた。しかし、薬剤師は処方1の薬剤の供給が不安定になったとの情報を得たため、医師と他剤への変更を検討し、処方1は処方2へ変更された。なお、処方1の薬剤と処方2の薬剤は、添加剤が同じものを調剤した。

スクリーンショット 2025-07-09 10.14.13.png


問198（実務）
変更後の処方2に関して薬剤師が患者に行う説明として、適切なのはどれか。２つ選べ。

１　処方2の薬剤は、処方1の薬剤と同じように服用してください。


２　処方2の薬剤は、処方1の薬剤と効果が同等です。


３　処方2の薬剤は、処方1の薬剤より副作用が軽くなります。


４　処方1の薬剤の供給が安定すれば、医師の同意がなくても処方1に戻せます。


５　飲合せに注意する薬が処方1の薬剤と異なりますので、今後別の薬を服用する場合は、相談してください。




問199（物理・化学・生物）
セチリジン塩酸塩はそのR−エナンチオマーとS−エナンチオマーのラセミ体で、旋光性は示さない。一方、レボセチリジン塩酸塩はR−エナンチオマーであり、旋光性を示し、比旋光度スクリーンショット 2025-07-09 10.19.38.png＝＋10.80°である。いま、レボセチリジン塩酸塩を含む原末1.00 gを量り、水に溶かして全量を200 mLとし、層長100 mmの測定管を用いて温度25℃で旋光度αDを測定したところ、＋0.052°であった。この原末中のレボセチリジン塩酸塩の含量に最も近いのはどれか。１つ選べ。ただし、原末中にはR−エナンチオマー以外に旋光性を示す物質は含まないものとする。

１　92.2％


２　94.1％


３　96.3％


４　98.4％


５　100.7％

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問 198    
問 199    
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 e-REC解説

問198　解答　１、２

セチリジン塩酸塩はそのR−エナンチオマーとS−エナンチオマーが等量混合されたラセミ体医薬品であり、このうち、活性本体であるR−エナンチオマーのみを光学分割した医薬品がレボセチリジン塩酸塩である。
スクリーンショット 2025-07-09 10.21.36.png

本問では、薬剤の供給が不安定になったため処方変更が行われた。そのため、薬剤師は患者に服用タイミングや薬効が処方変更前と同等であることを説明し、患者の処方変更に対する不安を和らげる必要がある。

１　正
前記参照

２　正
前記参照

３　誤
今回の処方変更は薬剤の供給不安定によるものであり、副作用が軽くなる旨を伝えることは適切とは言えない。なお、レボセチリジン塩酸塩錠の添付文書において、セチリジン塩酸塩錠よりも副作用が軽くなるとなる明確な根拠は示されていない。

４　誤
薬剤の供給が安定しても、医師の同意なく変更することはできない。

５　誤
セチリジン塩酸塩とレボセチリジン塩酸塩の活性本体は同じであるため、飲合せに注意する薬も同じである。


問199　解答　３

旋光度αDは、以下の式で計算できる。

スクリーンショット 2025-07-09 10.24.13.png

量りとった原末1.00 g中に含まれるレボセチリジン塩酸塩をx gとすると、測定したレボセチリジン塩酸塩溶液の濃度cはx g /200 mL＝x/200 g/mLとなる。
また、設問文より、スクリーンショット 2025-07-09 10.19.38.png＝＋10.80°、αD＝＋0.052°、l＝100 mmである。
これらを①に代入すると、以下のように計算できる。

スクリーンショット 2025-07-09 10.26.37.png

これを計算すると、x≒0.9630となる。
よって、原末1.00 g中に含まれるレボセチリジン塩酸塩の含量は以下のように計算できる。

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