令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 200,201

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問 200  正答率 : 55.2%
問 201  正答率 : 38.4%

 国家試験問題

国家試験問題
45歳女性。慢性的に片頭痛を繰り返しており、現在、処方1及び処方2の薬剤を服用している。
病院再診時、患者の片頭痛日誌を確認したところ、月4回以上通勤できないほどの片頭痛発作があった。医師は処方2の薬剤を変更するため、病院薬剤師に薬剤の選択について意見を求めた。

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問200(実務)
薬剤師が提案する変更後の処方薬として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 セレコキシブ


2 ガルカネズマブ


3 エルゴタミン


4 ロメリジン塩酸塩


5 ロキソプロフェンナトリウム




問201(物理・化学・生物)
スマトリプタンはセロトニン(5−HT)受容体のアゴニストとして薬効を発揮するが、受容体のサブタイプによって結合の強さが異なる。3H標識した5−HTを用いた結合実験により、スマトリプタンはヒト5−HT受容体のうち、5−HT1D受容体と最も強く結合することがわかっている。スマトリプタンが結合していない5−HT1D受容体をR、スマトリプタンの遊離形をS、スマトリプタンと5−HT1D受容体の結合形をRSとして、RとSは次のように1:1で反応するものとする。

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スマトリプタンの総濃度([S]+[RS])と5−HT1D受容体の総濃度([R]+[RS])がともに100 nmol/Lであるとき、5−HT1D受容体のうち、スマトリプタンが結合した割合が0.80とすると、この反応の解離定数Kdに最も近いのはどれか。1つ選べ。

1 0.20 nmol/L


2 0.80 nmol/L


3 5.0 nmol/L


4 80 nmol/L


5 100 nmol/L

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問 200    
問 201    

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問200 解答 2、4

本処方でスマトリプタンコハク酸塩錠は片頭痛発作時の治療薬であり、バルプロ酸ナトリウム徐放錠は片頭痛発作予防薬である。したがって、処方2(バルプロ酸ナトリウム)を変更する場合には、別の片頭痛発作予防薬を提案することが適切である。

1 誤
セレコキシブ(NSAIDs)は、片頭痛発作時の治療薬である。

2 正
ガルカネズマブ(抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体製剤)は、片頭痛発作予防薬である。

3 誤
エルゴタミン(麦角アルカロイド)は、片頭痛発作時の治療薬である

4 正
ロメリジン塩酸塩(Ca2+チャネル遮断薬)は、片頭痛発作予防薬である。

5 誤
ロキソプロフェンナトリウム(NSAIDs)は、片頭痛発作時の治療薬である。


問201 解答 3

スマトリプタンが結合していない5−HT1D受容体の濃度を[R]、スマトリプタンの遊離形の濃度を[S]、スマトリプタンと5−HT1D受容体の結合形の濃度を[RS]とする。

RとSは次のように1:1で反応してRSになる。

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この時、右向きの反応R+S → RSは結合反応、左向きの反応R+S ← RSは解離反応であり、解離定数Kdは解離反応の平衡定数であるため、以下のように表せる。

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5−HT1D受容体のうち、スマトリプタンが結合した割合が0.80であることから、次のように[RS]を求めることができる。

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[RS] = 80 nmol/Lであり、問題文よりスマトリプタンの総濃度([S]+[RS])=100 nmol/L、5−HT1D受容体の総濃度([R]+[RS])=100 nmol/Lなので、[R]、[S]もそれぞれ以下のように求めることができる。

[S] = 100 nmol/L -[RS] = 100 nmol/L - 80 nmol/L = 20 nmol/L
[R] = 100 nmol/L -[RS] = 100 nmol/L - 80 nmol/L = 20 nmol/L

よって、解離定数Kdは以下のように算出できる。

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