令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 202,203

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問 202  正答率 : 76.7%
問 203  正答率 : 49.0%

 国家試験問題

国家試験問題
4歳男児。体重14 kg。事故で低酸素脳症となり大学病院に入院していたが退院し、在宅で人工呼吸器と胃瘻及び導尿による管理を行っている。脳下垂体機能不全に対しては3ヶ月に1回、大学病院の内分泌・代謝内科を外来受診することになっており、初回受診時に、以下の薬剤が処方された。

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問202(物理・化学・生物)
処方2の薬剤は製造過程で水溶液を凍結乾燥して調製される。水の状態図中に記された状態変化のうち、凍結乾燥の過程における水の状態変化を正しく表しているのはどれか。1つ選べ。ただし、状態変化はAからBへ矢印の方向に起こるものとする。

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問203(実務)
初回受診後の患者家族に対して薬局薬剤師が行う服薬指導として正しいのはどれか。2つ選べ。

1 発熱時には処方1の薬剤を増量する必要があるので、医師の指示を受けてください。


2 幼児は成人よりも体重あたりの必要水分量が多いので、1日合計2 L以上の水を薬剤と共に与えてください。


3 決められた服用時刻を遵守すれば、食事の時間はいつでもかまいません。


4 痙れんや嘔吐は薬剤による副作用の可能性があるので、医師に連絡してください。


5 大豆製品は処方3の薬剤の効果を強めるので、摂らせないようにしてください。

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問 202    
問 203    

 e-REC解説

問202 解答 3

凍結乾燥とは、①水溶液を凍結(液体から固体へ変化)させ、②水分を昇華(固体から気体へ変化)させる乾燥法である。
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問203 解答 1、4

本問では脳下垂体機能不全によって欠乏した末梢ホルモンに対して、ホルモン補充療法を行っている。ヒドロコルチゾン(処方1)は副腎皮質ホルモン製剤、デスモプレシン(処方2)は抗利尿ホルモン製剤、レボチロキシン(処方3)は甲状腺ホルモン製剤である。

1 正
ヒドロコルチゾンはストレス時(発熱・手術・外傷など)に必要量が増加し、一時的に増量が必要となる。自己判断せず、医師の指示に従って調整するよう指導する。

2 誤
幼児は成人よりも体重あたりの必要水分量が多い。一方で、デスモプレシン服用中は水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があるため、水分の過剰摂取に注意しなければならないことを患者及びその家族に対して十分説明・指導する必要がある。
なお、水分摂取管理の重要性をふまえ、デスモプレシン酢酸塩水和物口腔内崩壊錠は水なしで服用する。

3 誤
デスモプレシンの血中濃度は食事により影響を受け、空腹時と比較して、食後で血中濃度の低下が認められる。よって、決められた服用時刻を遵守するように指導した上で、食事の時刻もなるべく毎日一定になるように伝えることが望ましい。

4 正
デスモプレシンの副作用として水貯留による低ナトリウム血症を引き起こすことがあり、初期症状として痙れん、嘔吐、頭痛などがみられる。これらの症状出現時には速やかに受診するよう伝える必要がある。

5 誤
大豆はレボチロキシンの吸収を妨げると報告されており、効果を弱める可能性がある。レボチロキシンの吸収を妨げる可能性があると報告されている飲食物には、豆乳、納豆などの大豆製品、コーヒー、多量の食物繊維などがある。摂取を禁止する必要はないが、同時に摂取するのは避けるのが望ましい。

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