令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 210,211

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問 210  正答率 : 70.5%
問 211  正答率 : 71.9%

 国家試験問題

国家試験問題
86歳女性。高血圧症と2型糖尿病。フレイルによる通院困難のため、多職種の訪問による自宅でのケアと処方1による薬物治療を受けていた。訪問医から病院の循環器科での検査入院を勧められ、心房細動の診断を受け、ワルファリンカリウムによる治療が開始された。退院後、娘が以下の処方箋を持って薬局を訪れた。

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患者は独居だが、近所に住む娘が食事や服薬の管理をしており、今後の在宅療養に合わせて再度アドバイスして欲しいと依頼があった。


問210(物理・化学・生物)
処方2に含まれる薬物は、下図のように、還元酵素Aを阻害することで、血液凝固系が機能するために必須な補酵素イが化合物アから生成されるのを抑制する。

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化合物アの構造として適切なのはどれか。1つ選べ。

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問211(実務)
処方2の薬剤に関連したアドバイスとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 健康のため、青汁やクロレラなどを多めに摂取しましょう。


2 チーズの摂取は避けてください。


3 便の色が黒くなったらすぐに医師や薬剤師に連絡してください。


4 骨を丈夫にすると言われるビタミンKのサプリメントを、積極的に摂取しましょう。


5 ナットウキナーゼは血栓を溶かすと言われるので、納豆を食べましょう。

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問 210    
問 211    

 e-REC解説

問210 解答 4

化合物アは、還元酵素Aにより還元されてヒドロキノン構造を有する補酵素イへと変換されるため、化合物アは、還元されてヒドロキノン構造になるキノン構造をもつ選択肢4であると考えられる。
なお、処方2に含まれる薬物であるワルファリンカリウムは、還元酵素A(ビタミンKキノンレダクターゼ)を阻害することにより、化合物ア(酸化型ビタミンK)から補酵素イ(還元型ビタミンK)への変換を妨げ、血液凝固因子(Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の活性化を阻害することで血栓形成を抑制する。

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問211 解答 3

1 誤
青汁やクロレラにはビタミンKが含まれており、ワルファリンの抗凝固作用を低下させる可能性がある。このため、ワルファリン服薬中はこれらのビタミンK含有食品の摂取を控えるよう指導するべきである。

2 誤
ワルファリンとチーズの間に明確な注意事項はないため、チーズの摂取を控える必要はない。

3 正
ワルファリン服薬中は、消化管出血や内出血の兆候に注意が必要である。黒色便(タール便)は上部消化管出血のサインであるため、便の色が黒くなったらすぐに医師や薬剤師に連絡するよう指導するべきである。

4 誤
ビタミンKのサプリメントはワルファリンの抗凝固作用を低下させる可能性がある。このため、ワルファリン服薬中はビタミンKのサプリメントの摂取を控えるよう指導するべきである。

5 誤
納豆にはビタミンKが含まれており、ワルファリンの抗凝固作用を低下させる可能性がある。このため、ワルファリン服薬中は納豆の摂取を控えるよう指導するべきである。

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