平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 210,211,212

Pin Off  未ブックマーク    |  |  |   
問 210  正答率 : 68.9%
問 211  正答率 : 80.3%
問 212  正答率 : 45.8%

 国家試験問題

国家試験問題
40歳女性。身長154 cm、体重54 kg。造血幹細胞移植の前治療で注射用シクロホスファミド水和物をシクロホスファミド(無水物換算)として50 mg/kg/dayで投与することになった。なお、点滴静注の場合は、シクロホスファミド(無水物換算)100 mgあたり5 mLの注射用水を用いて溶解後、1日あたりの必要量(X mL)を量りとり、補液で希釈し用いる。

問210(実務)
シクロホスファミドの調製と投与に関して正しいのはどれか。2つ選べ。

1 X=27である。


2 補液には生理食塩液を用いる。


3 大量投与するときには、出血性膀胱炎予防のためメスナ(2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を投与する。


4 治療効果を向上させるため、シクロホスファミド投与終了後24時間は輸液の投与を避ける。




問211(物理・化学・生物)
シクロホスファミド(A)は、ヒト肝ミクロソーム中のシトクロムP450(P450)によりメチレン炭素に水酸基が導入され、B、Cを経てホスホラミドマスタード(E)に代謝されたのち、最終的に活性体であるナイトロジェンマスタード(F)となる。Step1において水酸基が導入される炭素はAの1〜5のうちどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2017-04-04 19.43.47.png

問212(物理・化学・生物)
Step3においてEとともに生じる化合物Dとして最も適切な構造はどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2017-04-04 19.43.55.png

 解説動画  ( 00:00 / 07:38 )

限定公開

 ビデオコントロール

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 210    
問 211    
問 212    

 e-REC解説

問210 解答 2、3

1 誤
シクロホスファミドの1日当たりの投与量は、2,700 mg(50 mg/kg/day×54 kg=2,700 mg)である。問題文に「点滴静注の場合は、シクロホスファミド(無水物換算)100 mgあたり5 mLの注射用水を用いて溶解後、1日当たりの必要量(X mL)を量りとり」とあることから、1日当たりの必要量は135 mL(2,700 mg×5 mL/100 mg)となる。

2 正
シクロホスファミドを点滴静注する場合には、溶解後、適当な補液で希釈するとされており、その補液には一般に生理食塩水が用いられる。

3 正
シクロホスファミドは、代謝され、出血性膀胱炎の原因であるアクロレインになる。そのため、シクロホスファミドを大量投与するときには、出血性膀胱炎予防のためメスナ(2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を投与する必要がある。

4 誤
シクロホスファミド投与時には、泌尿器系障害の発現防止のため、投与終了後24時間は150 mL/hr以上の尿量を確保するように1日3 Lの輸液投与を行う必要がある。


問211 解答 5

化合物Aのどの部分に水酸基が導入されるかは、化合物Aと化合物Cを比較して変化した部分から判断することができる。選択肢1〜4の炭素部分では変化が起きていないことから、選択肢5の炭素に水酸基が導入されたと考えられる。なお、シクロホスファミド(A)は、P450によって代謝され、水酸基が導入された4−ヒドロキシシクロホスファミド(B)となり、その後アルドホスファミド(C)が生成する。
スクリーンショット 2017-04-04 19.44.09.png

問212 解答 5

化合物Cと化合物Eを比較すると、化合物Cのリン酸エステル部分が加水分解することによって、化合物Dの前駆体と化合物Eが生成すると考えられ、その後、化合物Dの前駆体は脱水反応により化合物Dとなると考えられる。なお、アルドホスファミド(C)は、リン酸エステル部分が加水分解され、活性体であるホスホラミドマスタード(E)と3−ヒドロキシプロパナール(Dの前駆体)が生成する。その後、3−ヒドロキシプロパナール(Dの前駆体)から脱水が起こり、アクロレイン(D)となる。
スクリーンショット 2017-04-04 19.44.23.png

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします