令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 212,213

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問 212  正答率 : 59.4%
問 213  正答率 : 63.8%

 国家試験問題

国家試験問題
31歳女性。1ヶ月前に粘血便、下痢が出現したため近所の消化器内科を受診し、大腸内視鏡検査により全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断された。医師との面談で、患者が安価な治療を望んだため、処方1による治療が開始され症状は改善した。その後、症状が安定していたが、たびたびめまいや頭痛が生じたとの訴えがあったため、医師は処方1を処方2へ変更し、患者が処方2の処方箋を持って薬局を訪れた。

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問212(物理・化学・生物)
処方1の薬物は、大腸へ到達後、下図のように、腸内細菌により代謝(還元)されて効果を示す。

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全大腸炎型潰瘍性大腸炎に有効な主たる活性成分の構造はどれか。1つ選べ。

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問213(実務)
薬剤師が、処方2の薬剤の服用及び注意事項について患者に説明する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 錠剤が大きくて飲みにくい場合は、粉砕し水や微温湯に懸濁して服用してもよいこと。


2 糞便中に白いものがみられる可能性があること。


3 グレープフルーツジュースの飲用は避けること。


4 症状が改善しても、再燃しないように服薬を継続する必要があること。


5 処方2の薬剤の服用中は、大腸がん検査を避けること。

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問 212    
問 213    

 e-REC解説

問212 解答 5

処方1の薬物であるサラゾスルファピリジンは、大腸へ到達後、腸内細菌によりアゾ結合(N=N)が還元的に切断され、活性代謝物のメサラジン(別名5-アミノサリチル酸)【選択肢5】となり抗炎症作用を発揮するプロドラッグである。

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問213 解答 2、4

1 誤
メサラジン錠はエチルセルロースでコーティングした放出調節製剤であるため、粉砕し水や微温湯に懸濁することは不適切である。

2 正
コーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中に白い残渣(ゴーストピル)がみられる可能性がある。患者がゴーストピルを見ることで有効性に不安を覚える可能性があるため、薬剤師は、糞便中に錠剤が出てくることがあるが、有効成分を放出した後の抜け殻であり異常ではないと説明しておくことが望ましい。

3 誤
メサラジンとグレープフルーツジュースとの相互作用は報告されていないため、グレープフルーツジュースの飲用を避ける必要はない。

4 正
潰瘍性大腸炎患者は症状の改善(寛解)と症状の悪化(再燃)を繰り返すことが多いため、症状が改善しても、再燃しないように服薬を継続する必要がある。

5 誤
潰瘍性大腸炎患者は健常者に比べて大腸がんの発症リスクが高いため、定期的に大腸がん検査を受けることが推奨される。

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