令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 246,247

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問 246  正答率 : 87.5%
問 247  正答率 : 65.9%

 国家試験問題

国家試験問題
30歳男性。以下の処方1〜3が記載された処方箋を持って薬局を訪れた。この薬局では、1名の薬学生が実習中であった。

スクリーンショット 2025-07-10 15.07.13.png

問246(薬理)
処方1〜3のいずれかの薬物に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ドパミンD2受容体に部分アゴニストとして作用することで、ドパミン神経系を安定化させる。


2 ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を刺激することで、統合失調症の陰性症状を改善する。


3 ドパミンD2受容体を遮断することで、統合失調症の陽性症状を改善する。


4 γ-アミノ酪酸GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合することで、睡眠を誘発する。


5 メラトニンMT1及びMT2受容体を刺激することで、睡眠-覚醒リズムを正常化する。




問247(実務)
指導薬剤師は、実務実習生に下表の換算値を用いて経口抗精神病薬のクロルプロマジン換算量を算出する課題を出した。この患者の1日分のクロルプロマジン換算量はどれか。1つ選べ。

スクリーンショット 2025-07-10 15.11.14.png

1 300 mg


2 480 mg


3 660 mg


4 750 mg


5 900 mg

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問 246    
問 247    

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問246 解答 3、5

1 誤
アリピプラゾールなどに関する記述である。アリピプラゾールは、ドパミン・システムスタビライザー(DSS)であり、ドパミンD2受容体に部分アゴニストとして作用することで、脳内のドパミン作動性神経伝達が過剰な時には抑制的に働き、不足時には促進的に作用することで、ドパミン神経系を安定化させる。

2 誤
ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断する作用を持つ薬物としてクロルプロマジンなどがある。クロルプロマジンは、フェノチアジン系の統合失調症治療薬であり、中脳辺縁系のドパミンD2受容体遮断作用による統合失調症の陽性症状改善作用と、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体遮断作用による鎮静作用を示す。

3 正
リスペリドン、スルピリド、ハロペリドールに関する記述である。それぞれの薬物は、ドパミンD2受容体を遮断することで、統合失調症の陽性症状を改善する。

4 誤
ブロチゾラムなどのベンゾジアゼピン系催眠薬に関する記述である。ブロチゾラムは、γ-アミノ酪酸GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合することで、GABAのGABAA受容体を介した中枢抑制作用を増強させ、睡眠を誘発する。

5 正
ラメルテオンに関する記述である。ラメルテオンは、メラトニンMT1及びMT2受容体を刺激し、睡眠-覚醒リズムを正常化することで不眠時における入眠困難を改善する。


問247 解答 4

本患者におけるリスペリドン、スルピリド、ハロペリドールの1日分のクロルプロマジン換算量をそれぞれX、Y、Zとする。
①リスペリドンの1日分のクロルプロマジン換算量Xを求める。
処方より、リスペリドンの1日成分量は、1 mg/錠×3錠=3 mgなので
等価換算表より、1 mg:100 mg=3 mg:Xを解いてX=300 mgとなる。

②スルピリドの1日分のクロルプロマジン換算量Yを求める。
処方より、スルピリドの1日成分量は、100 mg/錠×3錠=300 mgなので
等価換算表より、200 mg:100 mg=300 mg:Yを解いてY=150 mgとなる。

③ハロペリドールの1日分のクロルプロマジン換算量Zを求める。
処方より、ハロペリドールの1日成分量は、0.6 g×0.01=0.006 g=6 mgなので
等価換算表より、2 mg:100 mg=6 mg:Zを解いてZ=300 mgとなる。

①〜③より、求める1日あたりのクロルプロマジン換算量は
300 mg+150 mg+300 mg=750 mgとなる。

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