令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 256,257

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問 256  正答率 : 78.8%
問 257  正答率 : 75.9%

 国家試験問題

国家試験問題
63歳男性。5年前に糖尿病性腎症と診断され、シタグリプチンリン酸塩水和物、アルファカルシドール、ニフェジピン、酸化マグネシウム、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウムで治療してきた。2年前に貧血症状が現れ、ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)が追加された。現在のダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)の用法・用量は、処方1のとおりである。

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最近、血液中のヘモグロビン濃度が低下し、目標値を維持することができておらず、その原因も不明であった。なお、血清フェリチン値は126 ng/mL、トランスフェリン飽和度は33%と正常域にある。この状態をふまえて、腎臓内科医は、処方1から処方2へ変更した。

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問256(薬理)
処方1又は処方2の薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 補体C5に結合することで、補体C5を介した赤血球の破壊を抑制する。


2 チミジル酸合成酵素の補酵素として作用することで、赤血球の産生を促進する。


3 ヘム合成酵素の補酵素として作用することで、ヘムの合成を促進する。


4 赤芽球系前駆細胞に作用することで、赤血球への分化を促進する。


5 低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することで、HIFを介したエリスロポエチンの産生を促進する。




問257(実務)
処方2の薬剤の重大な副作用はどれか。1つ選べ。

1 心室性不整脈


2 白血球減少


3 低血圧


4 血栓塞栓症


5 下痢

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問 256    
問 257    

 e-REC解説

問256 解答 4、5

1 誤
エクリズマブに関する記述である。エクリズマブは、抗補体C5モノクローナル抗体であり、補体C5に結合することで、補体C5を介した赤血球の破壊を抑制する。

2 誤
葉酸に関する記述である。葉酸は、チミジル酸合成酵素の補酵素として作用することで、赤血球の産生を促進する。

3 誤
ピリドキシンなどに関する記述である。ピリドキシンは、ビタミンB6であり、ヘム合成酵素の補酵素として作用することで、ヘムの合成を促進する。

4 正
処方1のダルベポエチンアルファの記述である。ダルベポエチンアルファは、エリスロポエチン製剤であり、赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン受容体を刺激することで、赤血球への分化を促進する。

5 正
処方2のダプロデュスタットの記述である。ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することでHIFの分解を抑制し、HIFを介したエリスロポエチンの産生を促進することで赤血球の産生を促進する。


問257 解答 4

ダプロデュスタットは、赤血球の産生を促進させることで血液の粘稠度が増加するため、重大な副作用に血栓塞栓症を引き起こすことがある。

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