令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 262,263

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問 262  正答率 : 55.9%
問 263  正答率 : 54.8%

 国家試験問題

国家試験問題
65歳男性。2型糖尿病のため処方1〜3にて治療していた。

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最近、血糖コントロールが不良であることから、今回、処方3が処方4へ変更となり、処方1、2及び4が記載された処方箋を持ってかかりつけ薬局を訪れた。

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問262(実務)
処方変更に関して、医師に疑義照会すべき内容はどれか。2つ選べ。

1 セマグルチドの投与剤形


2 セマグルチド錠の服用タイミング


3 セマグルチド錠の開始用量


4 セマグルチド錠とグリメピリド錠の併用禁忌


5 セマグルチド錠とダパグリフロジン錠の併用禁忌




問263(薬理)
処方1〜4のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を刺激して、膵臓からのインスリン及びグルカゴン分泌を促進する。


2 ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害して、小腸から分泌されるインクレチンの分解を抑制する。


3 アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して、血中でのアンジオテンシンⅠの生成を抑制する。


4 ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰを阻害して、血糖値依存的なインスリン分泌を促進する。


5 AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化して、肝臓での糖新生を抑制する。

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問 262    
問 263    

 e-REC解説

問262 解答 2、3

1 誤
セマグルチドの剤形には、現在錠剤と皮下注製剤があり、本患者の処方薬はすべて錠剤であるため、本患者は経口投与可能と推測できる。そのため、疑義照会する内容として不適切である。

2 正
セマグルチド錠の服用タイミングは、1日のうちの最初の食事または飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120 mL)とともに1錠服用することとされているため、疑義照会する内容として適切である。

3 正
セマグルチド錠の開始用量は3 mgであり、4週間以上投与した後、維持用量の7 mgに増量することとされているため、疑義照会する内容として適切である。

4 誤
セマグルチド錠は、他の糖尿病薬との併用により、血糖降下作用が増強する可能性があるが併用禁忌ではないため、疑義照会する内容として不適切である。

5 誤
解説4参照


問263 解答 2、5

1 誤
本選択肢の作用機序をもつ薬物はない。なお、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を刺激して、膵臓からのインスリン分泌促進作用及びグルカゴン分泌抑制作用を示す薬物は、セマグルチドである。

2 正
ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害して、小腸から分泌されるインクレチンの分解を抑制する薬物は、シタグリプチンである。

3 誤
本選択肢の作用機序をもつ薬物はない。なお、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して、血中でのアンジオテンシンⅡの生成を抑制する薬物は、エナラプリルである。

4 誤
本選択肢の作用機序は、処方1〜4の薬物のいずれにも該当しない。なお、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰを阻害して、血糖値依存的なインスリン分泌を促進する薬物は、イメグリミンである。

5 正
AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化して、肝臓での糖新生を抑制する薬物は、メトホルミンである。

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