令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 270,271

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問 270  正答率 : 78.2%
問 271  正答率 : 46.6%

 国家試験問題

国家試験問題
69歳男性。数日前より髪の毛が抜けやすくなり、ふけや頭皮のかゆみを自覚した。皮膚科を受診したところ、頭部白癬と診断され、経口抗真菌薬で治療することになった。男性は以下の処方箋を持って、薬局を訪れた。男性の持参したお薬手帳を薬剤師が確認したところ、現在服用中の薬剤との薬物相互作用が懸念された。

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問270(薬剤)
お薬手帳から確認された現在服用中の薬剤とイトラコナゾールカプセルとの間で懸念される薬物相互作用の発現機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 胃内pHの上昇による溶解性の低下


2 核内受容体を介した小腸P-糖タンパク質の発現量増加


3 肝臓のOATP1B1に対する競合阻害


4 代謝物によるCYP3A4の不可逆的阻害


5 ヘム鉄への配位結合によるCYP3A4の阻害




問271(実務)
前問で懸念された薬物相互作用を回避するために、薬剤師が皮膚科の医師に提案する処方変更の内容として、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 投与量の減量


2 投与タイミングの就寝前への変更


3 テルビナフィン塩酸塩錠への変更


4 イトラコナゾール内用液への変更


5 ボリコナゾール錠への変更

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問 270    
問 271    

 e-REC解説

問270 解答 5

服用中の薬物のうち、シンバスタチンはイトラコナゾールと併用禁忌である。シンバスタチンは主にCYP3A4により代謝され、イトラコナゾールはCYPのヘム鉄に配位結合することによってCYP3A4の活性を可逆的に阻害する。そのため、両薬剤を併用するとシンバスタチンの代謝がイトラコナゾールによって阻害され、シンバスタチンの血中濃度が上昇し、横紋筋融解症などの副作用が発現しやすくなる。


問271 解答 3

イトラコナゾールとシンバスタチンの相互作用を回避するために、イトラコナゾールをシンバスタチンと相互作用を起こしにくい抗真菌薬に変更しなければならない。テルビナフィンは、シンバスタチンとの相互作用は報告されておらず、頭部白癬に対しても適応があるため、テルビナフィンを医師に提案するべきである。

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