令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 308,309

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問 308  正答率 : 94.8%
問 309  正答率 : 28.1%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳女性。身長155 cm、体重48 kg。Β型肝炎の既往あり。起床時の手指関節のこわばり、肘関節、膝関節の痛みを主訴として受診し、関節リウマチと診断され、処方1と処方2の薬剤で治療していた。その後、炎症がコントロールできず、受診した際に注射薬の追加が提案されたが、患者から「自分で注射するのは怖い。病院内で点滴してほしい。」との要望があったため、処方3が追加されることとなった。
なお、処方3の薬剤は、製造販売業者から卸売販売業者を経て、納入されたものである。

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問308(実務)
処方3の薬剤を投与開始するにあたり、この患者に行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 この薬は、免疫の異常に対して働き、関節の痛みや腫れなどの症状を改善し、関節の破壊を防止します。


2 点滴中に息苦しくなることがありますが、一定時間安静にすれば回復しますので心配いりません。


3 この薬の投与によってB型肝炎の再燃のリスクがありますので、定期的な検査が必要です。


4 命にかかわるような副作用は報告されていない安全なお薬です。


5 点滴治療開始後は、同一成分の自己注射を希望しても変更することはできません。




問309(法規・制度・倫理)
処方3の関節リウマチ治療薬の規制に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 この薬剤を使用した医療機関の開設者の氏名及び住所は、卸売販売業者から製造販売業者に報告される。


2 直接の容器・被包には、白地に赤枠、赤字で「生物」の文字が記載されている。


3 取り扱う医療関係者は、使用対象者の氏名、住所等の記録を保存しなければならない。


4 製造販売業者は、製造に用いた生物による感染症に関する最新の論文を知ったときは、15日以内に厚生労働大臣に報告しなければならない。


5 注意事項等情報(添付文書)又は直接の容器・被包には、製造に用いた生物の名称が記載されている。

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問 308    
問 309    

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問308 解答 1、3

1 正
アバタセプトは、抗原提示細胞膜のCD80/CD86に結合し、CD28を介した共刺激シグナルを阻害することでT細胞の活性化を抑制する。

2 誤
点滴中に息苦しくなった場合、アナフィラキシーがあらわれている可能性があるため、すぐに医療従事者に伝えるよう患者に説明する。

3 正
抗リウマチ生物製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本患者はΒ型肝炎の既往があり、B型肝炎の再燃のリスクがあるため、定期的な検査が必要である。

4 誤
アバタセプトの副作用として、敗血症や肺炎などの重篤な感染症があらわれることがあり、致命的な経過をたどることがある。

5 誤
点滴静注から皮下注射に切り替えることは可能である。


問309 解答 1、5

アバタセプト(遺伝子組換え)点滴静注用は、生物由来製品である。

1 正
生物由来製品の販売業者は、販売した薬局開設者や病院・診療所の開設者の氏名及び住所等の情報を、当該生物由来製品の承認取得者に提供しなければならない。

2 誤
生物由来製品(特定生物由来製品を除く)の直接の容器・被包には、白地に黒枠、黒字で「生物」の文字が記載されていなければならない。

3 誤
生物由来製品(特定生物由来製品又は人の血液を原材料として製造される生物由来製品を除く)を取り扱う病院などの医療関係者は、使用対象者の氏名、住所等の記録の保存を義務づけられていない。生物由来製品及び特定生物由来製品の記録の保存期間は以下の通りである。
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4 誤
生物由来製品の製造販売業者は、その製造販売をし、又は承認を受けた生物由来製品又は当該生物由来製品の原料若しくは材料による感染症に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき当該生物由来製品を評価し、その成果を厚生労働大臣に定期的に報告しなければならないが、15日以内という期限ではない。

5 正
生物由来製品(特定生物由来製品を除く)は、注意事項等情報に加え、添付文書又は直接の容器・被包に、以下の事項が記載されていなければならない。
・遺伝子組換え技術を応用して製造される場合にあっては、その旨
・当該生物由来製品の原料又は材料のうち、人その他の生物に由来する成分の名称
・当該生物由来製品の原材料である人その他の生物の部位等の名称(当該人その他の生物の名称を含む。)
・その他当該生物由来製品を適正に使用するために必要な事項

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