令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 314,315

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問 314  正答率 : 68.3%
問 315  正答率 : 62.7%

 国家試験問題

国家試験問題
ICUに常駐する薬剤師が、この病棟で使用している輸血用血液製剤のうちの血液成分の製剤に関する病棟スタッフ向けの講義を実施し、血液製剤に関する内容やその留意点について質問を受けた。
この病院で採用されている血液成分の製剤は、赤血球液−LR「日赤」(注)、照射赤血球液−LR「日赤」(注)、濃厚血小板−LR「日赤」(注)、照射濃厚血小板−LR「日赤」(注)、新鮮凍結血漿−LR「日赤」(注)の5種類であるが、ICU病棟では、リスクマネジメントの観点から赤血球液と濃厚血小板は照射済の製剤を使用することが病棟の内規で決まっている。

(注)
・赤血球液−LR「日赤」、照射赤血球液−LR「日赤」:有効成分としてヒト赤血球を含む
・濃厚血小板−LR「日赤」、照射濃厚血小板−LR「日赤」:有効成分としてヒト血小板を含む
・新鮮凍結血漿−LR「日赤」:有効成分としてヒト血漿を含む

問314(実務)
この病棟で使用される血液成分の製剤について、薬剤師が講義で話す内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 赤血球製剤には血液保存液(CPD液)と赤血球保存用の添加液(MAP液)が混合されているため、常温保存が可能である。


2 血小板製剤は振とうしながら保存する必要がある。


3 血漿製剤には血球成分は含まれていないため、使用前の血液型の確認は必要ない。


4 照射されている血液製剤とは、輸血による移植片対宿主病(GVHD)予防目的で、放射線が照射された製品である。


5 新鮮凍結血漿−LR「日赤」は、放射線部で照射後に使用すること。




問315(法規・制度・倫理)
薬剤師が講義時に受けた質問に対する回答として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 赤血球製剤の原料となる血液の確保は献血により行われています。


2 献血の採血は日本赤十字社が行っています。


3 血液製剤は、大きく2つに分類すると「輸血用血液製剤」と「血漿分画製剤」になります。


4 輸血用血液製剤の国内自給率は100%です。


5 血液成分の製剤の使用に関する記録は、医療機関において使用日から30年の保存義務があります。

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問 314    
問 315    

 e-REC解説

問314 解答 2、4

1 正
赤血球製剤は常温で保存することにより溶血が起こる可能性があるため、血液保存液(CPD液)と赤血球保存用の添加液(MAP液)が混合されていても、2〜6℃で冷蔵保存する必要がある。なお、血液保存液と赤血球保存用の添加液は抗凝固及び赤血球保存目的で混合されている。

2 正
血小板製剤は20〜24℃で振とうしながら保存する必要がある。

3 誤
血漿製剤には血球成分は含まれていないが、血漿成分の中に免疫グロブリンが含まれている。一般にA型の血液の血漿成分には抗B抗体、B型の血液の血漿成分には抗A抗体、O型の血液の血漿成分には抗A抗体及び抗B抗体が含まれているため、異なる血液型の血漿製剤を用いることにより溶血を引き起こすことがある。そのため、血漿製剤においても使用前の血液型の確認は必要である。

4 正
輸血による移植片対宿主病(GVHD)は、輸血用血液製剤中のリンパ球が輸血を受けた患者を非自己と認識し、患者の体内で増殖して組織を攻撃することで起こる合併症である。予防対策として、あらかじめ輸血用血液製剤に15〜50 Gyの放射線を照射し、リンパ球を不活化する必要がある。

5 正
新鮮凍結人血漿は、その製造工程において凍結することで製剤中のTリンパ球が破壊されるため、放射線照射は不要である。


問315 解答 5

1 正しい
赤血球製剤を含む輸血用血液製剤は、献血で集められた血液から作られる。

2 正しい
血液製剤の原料とする目的で、事業として採血をする場合には、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に基づき、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。現在、日本では日本赤十字社が唯一の採血事業者である。

3 正しい
血液製剤は、「輸血用血液製剤」と「血漿分画製剤」の2つに分類される。そのうち、「輸血用血液製剤」には、赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤、全血製剤があり、「血漿分画製剤」には、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤などがある。

4 正しい
血液製剤のうち、輸血用血液製剤や人血液凝固第Ⅷ因子製剤、人アンチトロンビンⅢ製剤、人フィブリノーゲン製剤は、国内自給率100%が達成されている。

5 誤っている
医療機関等の管理者は、血液成分の製剤等を含む特定生物由来製品を使用した場合には、その使用記録(患者の氏名及び住所、製造番号又は製造記号、使用年月日等)を使用した日から起算して少なくとも20年間保存しなければならない。
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