令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 320,321

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問 320  正答率 : 46.0%
問 321  正答率 : 91.9%

 国家試験問題

国家試験問題
69歳男性。一人暮らし。隣県に息子が住んでおり、休日にこの男性の世話をしている。処方1及び2の薬剤で治療していたが、物忘れが多くなり、2ヶ月前より処方3の薬剤が開始となった。服薬を忘れることもあり、息子は一人では面倒をみられないと近所の地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行い、今月要支援2の認定を受けた。主治医は、残薬が多く服薬に問題があるため、服薬支援のために薬局薬剤師の在宅訪問を考えた。この男性、息子、医師、薬剤師、介護支援専門員と相談の結果、薬剤師の月1回訪問が決まり、契約を締結し、薬剤管理指導の費用を介護保険で請求することとなった。初回訪問時の処方は以下のとおりである。

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問320(法規・制度・倫理)
薬局薬剤師が薬剤管理指導を請求する保険の算定要件等に関する記述として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 在宅患者訪問薬剤管理指導料で請求する。


2 管理指導に携わる薬剤師は、5年以上の実務経験が求められる。


3 保険薬局の指定を受けていれば、この管理指導に関する実施について、あらためて届出をする必要はない。


4 1ヶ月に請求できる訪問回数に制限が設けられている。


5 訪問時に居宅サービスの変更につながる情報を得た場合でも、医師以外の関係者に報告する必要はない。




問321(実務)
薬剤師が2回目の訪問時に患者宅にあるヘルパーの訪問記録から、薬がきちんと飲めているが、ここ1ヶ月ほど軟便が続いているという情報を得た。この患者に合わせた薬剤師の対応として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 水分摂取を控えるよう患者と息子に指導した。


2 酸化マグネシウムの減量を主治医に提案した。


3 市販の止瀉薬を購入し、服用するよう患者と息子に指導した。


4 ファモチジンの増量を主治医に提案した。


5 ガランタミンの増量を主治医に提案した。

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問 320    
問 321    

 e-REC解説

問320 解答 3、4

薬局薬剤師の訪問による薬剤管理指導に係る給付には、医療保険における在宅患者訪問薬剤管理指導料と、介護保険における要介護者に対する居宅療養管理指導費又は要支援者に対する介護予防居宅療養管理指導費がある。

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1 誤
本問では「要介護認定の申請を行い、今月要支援2の認定を受けた。」とあることから、介護予防居宅療養管理指導費を算定する。

2 誤
介護予防居宅療養管理指導費を算定するにあたり、薬剤管理指導を行う薬局薬剤師の実務経験年数の要件は定められていない。

3 正
保険薬局の指定を受けた場合には、別段の申し出がなければ、介護保険の居宅療養管理指導又は介護予防居宅療養管理指導に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けたものとみなされる。

4 正
1ヶ月に介護予防居宅療養管理指導費を請求できる訪問回数は、原則として、月に4回までであり、制限が設けられている。

5 誤
薬局薬剤師が薬剤管理指導を行った際、居宅サービスの変更につながる情報を得た場合、医師の他、介護支援専門員(ケアマネージャー)など患者のケアに関わる者に報告する必要がある。


問321 解答 2

本問では、「薬がきちんと飲めているが、ここ1ヶ月ほど軟便が続いている」との記載があり、このことから軟便への対応が必要である。

1 誤
本患者はここ1ヶ月ほど軟便が続いているとのことから、脱水症状を引き起こす可能性がある。したがって、水分摂取を控えるという指導は、脱水症のリスクが高まるため、不適切である。

2 正
酸化マグネシウムは緩下剤であり、腸管内浸透圧を上昇させて腸内へ水分を吸引し、腸管内容物を軟化することで瀉下作用を示す。そのため、本患者は酸化マグネシウムの服用により軟便になっている可能性があるため、酸化マグネシウムの減量を主治医に提案することは適切である。

3 誤
本患者は、物忘れが多くなったため、中枢性コリンエステラーゼ阻害薬のガランタミン口腔内崩壊錠、ガランタミン口腔内崩壊錠による胃酸分泌亢進を抑制する目的でファモチジン口腔内崩壊錠が処方されていると考えられる。両薬物は低頻度ではあるが下痢を引き起こす危険性がある。また、酸化マグネシウムも軟便の原因となり得る。
市販の止瀉薬は、処方薬の副作用が原因と考えられる下痢や軟便に対しては用いないため、市販の止瀉薬を服用するよう指導することは不適切である。

4 誤
ファモチジンは副作用として下痢を引き起こすことがあるため、ファモチジンの増量を主治医に提案することは不適切である。

5 誤
ガランタミンは副作用として下痢を引き起こすことがあるため、ガランタミンの増量を主治医に提案することは不適切である。

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