平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 304,305

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問 304  正答率 : 55.2%
問 305  正答率 : 57.2%

 国家試験問題

国家試験問題
25歳女性。急性骨髄性白血病に対して同種造血幹細胞移植術が施行された。ある時期から38℃以上の発熱が10日間以上続き、肺右下葉の気管支肺胞洗浄液の所見に基づいて侵襲性肺アスペルギルス症と診断された。なお、この診断がなされた時点での患者のクレアチニンクリアランス値は20.5 mL/min であった。

問304(病態・薬物治療)
肺アスペルギルスに関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。

1 好中球減少症患者で発症しやすい。
2 温泉や24時間入浴機器の使用が感染源となりやすい。
3 空調機器等を介した院内感染に注意が必要である。
4 グラム陰性桿菌の感染症である。
5 血中(1,3)-β-D-グルカン濃度が低下する。


問305(実務)
この患者に対して、イトラコナゾール注射剤は使用できないと病棟薬剤師は判断した。その理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、イトラコナゾール注射剤には、1%イトラコナゾールの他に添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、プロピレングリコール、塩酸を含む。

1 イトラコナゾールがアスペルギルス症に対して無効であるため
2 イトラコナゾールが腎排泄型薬物であるため
3 イトラコナゾールが肺に移行しないため
4 添加物が腎機能を低下させるため
5 添加物が造血幹細胞の増殖を抑制するため
6 添加物に催奇形性があるため

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問 304    
問 305    

 e-REC解説

問304 解答 1、3

肺アスペルギルス症は、アスペルギルス属の真菌が原因で生じる真菌感染症の1つである。

1 正
健常者が罹患することはまれで、好中球減少時など免疫機能が低下した際に日和見感染として発症しやすい。

2 誤
温泉や24時間入浴機器の使用が感染源となりやすいのは、レジオネラ感染症である。

3 正
アスペルギルスの胞子が空調機器等を介して病棟に運ばれ、院内感染の原因となることがある。

4 誤
肺アスペルギルス症は真菌感染症であり、グラム陰性桿菌などの細菌感染症ではない。

5 誤
(1,3)-β-D-グルカンは、真菌の細胞壁構成成分であるため、血中の(1,3)-β-D-グルカン濃度の上昇が深在性真菌感染症の指標となる。


問305 解答 4

イトラコナゾール注射剤に含まれるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、腎組織に蓄積することによる腎機能低下が問題となる。そのため、クレアチニンクリアランス値が30 mL/分未満である高度腎機能障害患者には禁忌である。

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