平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 208,209

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問 208  正答率 : 78.4%
問 209  正答率 : 55.6%

 国家試験問題

国家試験問題
78歳女性。高血圧症とパーキンソン病で処方1を服用していた。パーキンソン病症状のコントロールが困難になったため、新たに処方2が追加された。
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問208(実務)
本症例において処方2が追加された原因として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 ウェアリング・オフ
2 ジスキネジア
3 悪性症候群
4 動悸
5 異常興奮


問209(物理・化学・生物)
以下に示すA〜Cはセレギリン、レボドパ又はカルビドパのいずれかである。これらの医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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1 AとCは、同じ標的分子の別の部位に結合することにより、代謝反応によるドパミンの分解を阻害する。
2 Bは、生体内でドパミンに変化することによって活性を発現するプロドラッグである。
3 Bは、脳内で芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素による代謝を受ける。
4 Cは、一置換ヒドラゾン構造をもつ。
5 Cは、Bと同様に血液脳関門を通過しやすい。

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問 208    
問 209    

 e-REC解説

問208 解答 1

本症例において、処方2(セレギリン塩酸塩錠2.5 mg)が追加された原因は、選択肢1のウェアリング・オフの改善であると考えられる。ウェアリング・オフとは、レボドパ製剤の効果持続時間が短縮し、効果に日内変動が生じる現象である。ウェアリング・オフの対処としては、本症例のようなセレギリン塩酸塩(MAOB阻害薬)またはエンタカポン(COMT阻害薬)やイストラディフィリン(アデノシンA2A受容体遮断薬)を用いたり、レボドパ製剤の頻回投与、増量などを行う。


問209 解答 2、3

A〜Cの医薬品は、A:セレギリン、B:レボドパ、C:カルビドパである。

1 誤
セレギリン(A)は、中枢に作用するMAOB阻害薬であるため、標的分子は中枢内のMAOBである。一方、カルビドパ(C)は、末梢に作用する芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬であるため、標的分子は末梢内の芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素である。したがって、AとCは標的分子が異なる。

2 正
レボドパ(B)は、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素により代謝を受けドパミンに変換される。
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3 正
レボドパ(B)はアミノ酸の構造を有するため、アミノ酸トランスポーターにより血液脳関門を通過し、脳内に移行する。その後、レボドパは脳内で芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素により代謝を受け、ドパミンに変換される。

4 誤
カルビドパ(C)は、一置換ヒドラジン構造を有するが、ヒドラゾン構造は有しない。
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5 誤
レボドパ(B)は、アミノ酸の構造を有するため、アミノ酸トランスポーターにより血液脳関門を通過する。一方、カルビドパ(C)はアミノ酸構造を有しないため、血液脳関門を通過しにくい。

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