平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 202,203

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問 202  正答率 : 56.1%
問 203  正答率 : 35.0%

 国家試験問題

国家試験問題
43歳男性、体重53kg。呼吸器内科に通院中、肺炎を繰り返すようになり、気管支アスペルギルス症と診断され、入院となった。入院時の持参薬は以下のとおりであり、入院中も継続して服用した。
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注射用ボリコナゾールを初日に600 mg、2日目以降は400 mgを1日2回に分けて点滴静注し、投与開始4日目と8日目に血中濃度を測定した。その後、点滴静注からボリコナゾール錠200 mgを1回1錠(1日2錠)1日2回の内用剤に切り換えることになった。

問202(実務)
病棟の薬剤師が行うこととして、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 ボリコナゾール錠は、現在服用中の他の薬剤と一緒に食後に服用するよう患者に指導した。
2 ボリコナゾールを、内用剤に切り換えた後、必要に応じて血中濃度を測定するよう医師に提案した。
3 肝機能検査値の変化に注意するようカルテに記載した。
4 咳がおさまったので、持参薬のうちコデインリン酸塩散の中止を医師に提案した。
5 ボリコナゾール錠を服用し忘れたときは、次回にまとめて2錠を服用しないよう患者に指導した。


問203(物理・化学・生物)
血漿中ボリコナゾール濃度の定量に際し、下記の除タンパク操作を行った。     に入る最も適切な試薬はどれか1つ選べ。

「血漿試料に内標準物質、     、および酢酸エチルを加えて振とう・混和し、遠心分離を行って上層の有機層を回収する。溶媒を留去し、液体クロマトグラフィー用移動相に溶解して液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)で分析する」
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1 希塩酸
2 エタノール
3 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)水溶液
4 過酸化水素水
5 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液

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問 202    
問 203    

 e-REC解説

問202 解答 1

1 不適切
ボリコナゾール錠の吸収は、食事による影響を受けるため、ボリコナゾール錠は、食後に服用せず、食間に服用する。

2 適切
ボリコナゾール投与中は血中薬物モニタリング(TDM)を行うことが望ましい。
注射剤からボリコナゾールの投与を開始した成人患者において、経口投与可能であると医師が判断した場合は、錠剤に切り替えることが可能である。注射剤から錠剤に切り替えた後も、必要に応じてTDMを行う。

3 適切
ボリコナゾール投与中に重篤な肝障害があらわれることがあるので、投与にあたっては、観察を十分に行い、肝機能検査を定期的に行う必要がある。

4 適切
患者の咳がおさまっているので、鎮咳薬であるコデインリン酸塩散の中止を提案することは適切である。

5 適切
ボリコナゾール錠を服用し忘れたときは、できるだけ早く服用する。ただし、次回の服用時間が近い場合には、次回服用時に1回分を服用する。


問203 解答 5

問題文に「血漿試料に内標準物質、     、および酢酸エチルを加えて振とう・混和し、遠心分離を行って上層の有機層を回収する。」とあることから、血漿試料に有機溶媒である酢酸エチルと     を入れ、遠心分離した後の有機層から、ボリコナゾールを抽出していることがわかる。
このことから、今回の操作は溶媒抽出法により、除タンパク操作を行っていると考えられる。ボリコナゾールは塩基性薬物であるため、溶媒抽出法により有機層にボリコナゾールを効率よく抽出するためには、血漿をアルカリ性にする必要がある。よって、血漿試料には、血漿をアルカリ性にする飽和炭酸水素ナトリウムを添加する必要がある。

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