令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 101

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問 101  正答率 : 48.9%

 国家試験問題

国家試験問題
クエン酸(C6H8O7)に関する記述について、誤っているのはどれか。1つ選べ。

スクリーンショット 2020-06-15 16.49.38.png

1 IUPAC名は、2−hydroxypropane−1,2,3−tricarboxylic acidである。
2 結晶水を持つものは、クエン酸水和物と呼ばれる。
3 塩基性条件下、二価の鉄イオン1つに対して四座配位子として働き、安定なキレートを形成する。
4 不斉炭素原子を持たず、アキラルな分子である。
5 三ナトリウム塩の水溶液は塩基性を示す。

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問 101    

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解答 3

1 正しい
主たる官能基が複数存在し、同じ炭素鎖に結合している場合、接頭辞(di−,tri−)を用いて主鎖を表す。クエン酸の場合、主たる官能基である−COOHが3つ存在し、プロパン(propane)の1位、2位、3位にそれぞれ−COOHが結合しているため、主鎖はpropane−1,2,3−tricarboxylic acidとなる。2位の炭素には−OHが結合しているため、側鎖は2−hydroxyとなり、IUPAC名は、2−hydroxypropane−1,2,3−tricarboxylic acidとなる。(なお、クエン酸の3つの−COOHは等価のため、下記の構造のように、一部の−COOHだけを側鎖として命名してはならない。)

スクリーンショット 2020-06-15 16.49.59.png

2 正しい
クエン酸が結晶水を持つと、クエン酸水和物と呼ばれる。なお、結晶水を持たないものは無水クエン酸と呼ばれる。

3 誤っている
クエン酸にある4つの−OHは、塩基性条件下において、Hが解離することで−Oとなり、金属イオンとキレートを形成できる。しかし、クエン酸の立体構造上、1つの金属イオンに対して4つ全ての−OHを用いてキレートを作ることはできないため、二価の鉄イオン1つに対して三座配位子として働き、安定なキレートを形成する。

4 正しい
クエン酸は、不斉炭素原子が存在せず、分子内対称面を持つため、アキラルな分子である。

5 正しい
クエン酸三ナトリウム塩は、弱酸のクエン酸と強塩基の水酸化ナトリウムから成る塩なので、水溶液は塩基性を示す。

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