平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 114

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問 114  正答率 : 54.1%

 国家試験問題

国家試験問題
下図は、ペントースリン酸回路(一部)の概略を示している。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、スクリーンショット 2016-08-02 1.19.26.pngはリン酸基を表す。
スクリーンショット 2016-08-02 1.21.29.png

1 ①の反応では、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型(NAD)から還元型(NADH)が生成される。
2 ②の反応では、二酸化炭素(CO2)が生じる。
3 代謝中間体Xを生成する③の反応において、ADPからATPが生成される。
4 ④の反応で生成する代謝中間体Yは、核酸合成に利用される。
5 ①〜④の反応は、主にミトコンドリアのマトリックスで行われる。

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問 114    

 e-REC解説

解答 2、4

ペントースリン酸回路は、細胞質に存在するD−グルコースの代謝経路の一つであり、五炭糖であるD−リボース−5−リン酸(代謝中間体Y)やNADPHが生成する。D−リボース−5−リン酸はホスホリボシルピロリン酸(PRPP)となり核酸生合成に利用され、また、NADPHは飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、ステロイドホルモン、胆汁酸の生合成に利用されるだけでなく、シトクロムP450による薬物代謝などで重要な役割を果たす。
なお、生成するD−リボース−5−リン酸とD−キシルロース−5−リン酸(代謝中間体X)は、D−フルクトース−6−リン酸やD−グリセルアルデヒド−3−リン酸に変換され解糖系に入ることができる。

1 誤
①の反応では、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドではなく、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の酸化型(NADP)から還元型(NADPH)が生成する。

2 正
②の反応は、6−ホスホ−D−グルコン酸が、D−リブロース−5−リン酸に変換されることから、酸化的脱炭酸反応であり、二酸化炭素(CO2)やNADPHとともにD−リブロース−5−リン酸が生成する。

3 誤
代謝中間体Xは、D−キシルロース−5−リン酸である。D−キシルロース−5−リン酸は、D−フルクトース−6−リン酸やD−グリセルアルデヒド−3−リン酸に変換され解糖系に入ることができるが、ペントースリン酸回路自体はATPを産生する回路ではないため、③の反応に限らず、この回路のいずれの反応においてもATPは生じない。

4 正
代謝中間体Yは、D−リボース−5−リン酸である。D−リボース−5−リン酸はホスホリボシルピロリン酸(PRPP)となり核酸生合成に利用される。

5 誤
ペントースリン酸回路は、ミトコンドリアではなく細胞質に存在する代謝経路である。

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