平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 272,273

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問 272  正答率 : 86.4%
問 273  正答率 : 86.4%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳男性。本態性高血圧症及び狭心症に対して外来で薬物治療を受けていたが、急に症状が悪化したため入院となった。薬剤師が面談し、薬物の使用状況等について尋ねたところ、めまいや、一過性の意識障害などの症状が現れることが時々あったため、最近になって自己判断で服薬を止めていたことが判明した。

問272(実務)
この患者が服用していた薬物として最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。

1 アリスキレンフマル酸塩
2 エナラプリルマレイン酸塩
3 カンデサルタンシレキセチル
4 ニフェジピン
5 フロセミド


問273(薬剤)
服薬中止のきっかけとなった症状は、この患者が最近摂取し始めた食品あるいは一般用医薬品との相互作用に起因すると考えられた。摂取していた可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。

1 牛乳
2 鉄製剤
3 アルミニウムを含む制酸剤
4 グレープフルーツジュース
5 セントジョーンズワートを含む健康食品

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問 272    
問 273    

 e-REC解説

問272 解答 4

本患者は、本態性高血圧症及び狭心症に対して薬物治療を受けており、服用していた薬物の副作用でめまいや、一過性の意識障害などの症状が現れていたと考えられる。選択肢中の薬物の中で、本態性高血圧症及び狭心症に適応があり、副作用としてめまいや一過性の意識障害などの症状が現れることがある薬物は、ニフェジピンである。

1 誤
アリスキレンフマル酸塩は、高血圧症に用いられるが狭心症には適応がない。また、副作用としてめまいが現れることがあるが、一過性の意識障害が現れるとの報告はない。

2 誤
エナラプリルマレイン酸塩は、高血圧症や慢性心不全に用いられるが狭心症には適応がない。また、副作用としてめまいが現れることがあるが、一過性の意識障害が現れるとの報告はない。

3 誤
カンデサルタンシレキセチルは、高血圧症や慢性心不全に用いられるが狭心症には適応がない。また、副作用としてめまいや一過性の意識障害が現れることはある。

4 正
前記参照

5 誤
フロセミドは、高血圧症や浮腫などに用いられるが狭心症には適応がない。また、副作用としてめまいが現れることがあるが、一過性の意識障害が現れるとの報告はない。


問273 解答 4

グレープフルーツジュースに含まれる成分は、小腸粘膜のCYP3A4の阻害作用を有するため、経口投与した薬物の消化管における代謝を抑制することで、血中濃度を上昇させる可能性がある。ニフェジピンは、主にCYP3A4で代謝されるため、グレープフルーツジュースを摂取し始めたことにより、血中濃度が上昇し、めまいや一過性の意識障害などの副作用が現れたと考えられる。

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