平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 182

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問 182  正答率 : 84.8%

 国家試験問題

国家試験問題
22歳男性。1ヶ月ほど前から体に違和感があり、「就職したばかりで慣れないので緊張しているのかな?」と思っていた。「少し前にショックな出来事があり、その事を引きずっているのかな?」とも思っていた。数日前、「背後で上司が自分の事を非難する声」が聞こえてきた。その声は毎日のように続き、そのことを考えると不眠となった。受診の結果、統合失調症と診断され薬物治療が開始されることとなった。
この症例に関し、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 統合失調症の発症は、思春期から青年期ではまれである。


2 急性期の治療には非定型抗精神病薬の多剤併用療法が推奨される。


3 定型抗精神病薬による治療を開始した際の注意すべき副作用に悪性症候群がある。


4 多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)による治療では、体重増加に注意する必要がある。


5 錐体外路症状の発症予防のため、レボドパの併用が推奨される。

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問 182    

 e-REC解説

解答 3、4

1 誤
統合失調症は、思春期から青年期(10〜30歳代)に好発する。

2 誤
統合失調症の急性期の治療は、副作用の少ない非定型抗精神病薬の単剤投与が基本となる。

3 正
悪性症候群は、ドパミンD2受容体遮断作用をもつ抗精神病薬に見られやすい副作用であり、症状としては筋強直や高熱などが挙げられる。主な処置は原因薬物の中止、ダントロレンナトリウムの投与、体冷却などを行う。

4 正
抗精神病薬は、食欲増進による体重増加を副作用として起こすことがあり、特にオランザピンやクエチアピンなどのMARTAで見られやすい。

5 誤
抗精神病薬はドパミンD2受容体遮断作用により、錐体外路障害を起こすことがある。錐体外路障害が見られた場合には、ドパミンに影響しない中枢性抗コリン薬の追加が推奨される。なお、レボドパは本患者の統合失調症の陽性症状を悪化させる恐れがあるため、錐体外路障害の発症予防には用いられない。

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