平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 264,265

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問 264  正答率 : 66.3%
問 265  正答率 : 49.8%

 国家試験問題

国家試験問題
65歳男性。糖尿病性腎症により入院した。血糖コントロールのためのインスリン製剤のほか、以下の薬剤が処方された。
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問264(実務)
この患者への服薬説明および指導の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 処方1の薬剤は、小腸で吸収されて、血液中の有害物質を吸着して排泄させます。


2 処方2および3の薬剤は、いずれも血圧を下げます。


3 処方2の薬剤で血清カリウム値が低くなることがあります。


4 グレープフルーツジュースは、処方3の薬剤の作用を増強する恐れがあります。


5 処方4の薬剤は、毎日注射しないと効果が得られません。




問265(薬理)
ダルベポエチンアルファの薬理作用および副作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 単球および単球系前駆細胞に作用して、増殖を促進する。


2 エリスロポエチン(EPO)のEPO受容体に対する親和性を高める。


3 エポエチンアルファと比較して、持続的な赤血球造血作用を示す。


4 血圧低下を起こしやすい。


5 血液粘稠度が上昇し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。

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問 264    
問 265    

 e-REC解説

問264 解答 2、4

1 誤
球形吸着炭細粒は、消化管内で尿毒症毒素を吸着し、便とともに排泄させることにより、尿毒症毒素を低下させ、腎不全患者の尿毒症症状の改善効果及び透析導入の遅延効果をもたらす。よって、「処方1の薬剤は、小腸で吸収されず、消化管内で有害物質を吸着して排泄させます」と説明する必要がある。

2 正
ロサルタンKはアンギオテンシンⅡAT1受容体拮抗薬、フェロジピンはCa拮抗薬であり、いずれも血圧を下げる作用を有する。よって、設問の説明は適切である。

3 誤
ロサルタンKは、AT1受容体を遮断し、アルドステロンの分泌を抑制するため、尿細管におけるKの排泄が抑制され、副作用として高カリウム血症を起こすことがある。よって、「処方2の薬剤で血清カリウム値が高くなることがあります。」と説明する必要がある。

4 正
グレープフルーツジュースは、小腸の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、フェロジピンの小腸における代謝を阻害するため、フェロジピンの作用を増強させることがある。よって、設問の説明は適切である。

5 誤
ダルベポエチンアルファは、初回量として、週に1回静脈内投与、維持量として、週に1〜2回静脈内投与することで効果が得られる。よって、「処方4の薬剤は、初めは週に1回の注射で効果が得られ、貧血症状が改善するとともに週に1〜2回の注射で効果が得られます。」と説明する必要がある。


問265 解答 3、5

1 誤
ダルベポエチンアルファは、赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン(EPO)受容体に特異的に結合し、赤血球前駆細胞を分化・増殖させることで、赤血球産生を促進する。

2 誤
解説1参照

3 正
エポエチンアルファと比較して、ダルベポエチンアルファは、持続的な赤血球産生促進作用を示す。

4 誤
ダルベポエチンアルファを投与することにより、血圧上昇、高血圧性脳症を起こす可能性がある。

5 正
ダルベポエチンアルファを投与することにより、血液粘稠度が上昇することがあるため、血栓塞栓症を誘発する可能性がある。
なお、血液粘稠度の上昇により、心筋梗塞、脳梗塞、血栓塞栓症を増悪あるいは誘発させる可能性があるので、心筋梗塞、脳梗塞、血栓塞栓症の患者及びその既往歴を有し血栓塞栓症を起こすおそれのある患者には、ダルベポエチンアルファを慎重に投与する必要がある。

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