平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 268,269

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問 268  正答率 : 82.9%
問 269  正答率 : 73.8%

 国家試験問題

国家試験問題
35歳女性。妊娠初期に妊娠糖尿病と診断され、食事療法を行っていたが血糖コントロールが不良となったため、薬物療法の開始が検討された。

問268(実務)
この患者に用いる薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 アカルボース


2 ヒトインスリン(遺伝子組換え)


3 シタグリプチンリン酸塩水和物


4 ナテグリニド


5 メトホルミン塩酸塩




問269(薬剤)
薬物の胎盤透過に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 一般に、分子量5,000以上の薬物も透過して胎児へ移行する。


2 胎盤にはP−糖タンパク質が発現し、薬物の胎盤への移行を促進している。


3 多くの薬物の胎盤透過は、pH分配仮説に従う。


4 一般に、母体中の血漿タンパク質結合形薬物は、胎盤へ移行しない。


5 一般に、水溶性の高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。

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問 268    
問 269    

 e-REC解説

問268 解答 2

妊娠中の厳格な血糖コントロールを達成することが食事療法のみで不可能なときには、胎盤を通過しないインスリンを用いる。なお、選択肢1、3〜5の経口血糖降下薬は、胎盤を通過し、胎児に影響を及ぼすことがあるため、原則として妊娠中には用いない。


問269 解答 3、4

血液胎盤関門の実体である合胞体性栄養膜細胞の物質の透過には、単純拡散、促進拡散、能動輸送、膜動輸送(サイトーシス)が関与しており、薬物の多くは単純拡散により透過する。

1 誤
一般に、分子量1,000以上の薬物、血漿タンパク結合形薬物、水溶性の高い薬物は血液胎盤関門を透過しにくい。

2 誤
血液胎盤関門に存在するP−糖タンパク質(MDR1)は、薬物の胎盤への移行を制御している。なお、血液胎盤関門には、MDR1の他にMRP1、2及びBCRPなどの薬物を輸送する担体も発現している。

3 正
多くの薬物の胎盤透過は、単純拡散によって行われるため、pH分配仮説に従う。

4 正
解説1参照

5 誤
解説1参照

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