平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 292,293

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問 292  正答率 : 49.9%
問 293  正答率 : 79.8%

 国家試験問題

国家試験問題
関節リウマチ患者200人をランダムに割付けし、単盲検の並行群間試験を実施したところ、103人が試験薬投与群、97人が対照群に割付けられた。14週間の試験期間において、試験薬投与群では35人が試験を完了できずに脱落、対照群では6人が脱落した。
[解析1]脱落者を除き、試験を完了した試験薬投与群68人、対照群91人で治療効果を検討した。
[解析2]脱落者も試験完了者とともに解析に組み入れた。

問292(実務)
この研究結果を解釈するにあたって、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 単盲検試験では、被験者は割付けの内容を知らない。


2 並行群間試験では、各群に被験薬又は対照薬が投与され、エンドポイントが観察される。


3 評価指標の内容が、真のエンドポイントを反映するかどうかを確認する。


4 関節リウマチの治療を意図したときの有効性をみるには、[解析2]よりも[解析1]の結果を重視する。


5 [解析2]の解析方法は、intention−to−treat analysisとよばれる。


問293(病態・薬物治療)
被験者をエントリーするにあたり、関節リウマチの診断を行うために自己抗体の測定を行うこととした。選択基準として用いるのに適切なのはどれか。1つ選べ。

1 抗二本鎖DNA抗体陽性
2 抗Sm抗体陽性
3 抗リン脂質抗体陽性
4 抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体陽性

5 抗マイクロゾーム抗体陽性

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問 292    
問 293    

 e-REC解説

問292 解答 4

1 適切
単盲検試験とは、医師などの評価者は治験薬の割付内容を把握しているが、被験者は把握していない状態で行われる試験をいう。

2 適切
並行群間試験では、各群に被験薬又は対照薬が投与され、有効性を示す評価指標であるエンドポイントが観察される。

3 適切
真のエンドポイントとは、本来求めたい評価項目及び内容のことをいうが、短期間での評価が困難である。そのため、実際には短期間で評価できる代替エンドポイントが評価指標として設定され、その結果が真のエンドポイントを反映するかどうかが確認される。

4 不適切
臨床試験のデータを統計解析するときには、intention−to−treat analysis(ITT)解析とper−protocol−based analysis(PPB)解析の2つの考え方がある。ITT解析は、治療しようとした全例を解析対象とし、多少の脱落者も含めて解析する手法であり、PPB解析はプロトコール通りに実施された症例のみを解析する手法のことである。今回の場合、[解析1]がPPB解析、[解析2]がITT解析となる。実際の臨床現場では、副作用や、アドヒアランスの低下などにより脱落者が出てくるのが必然であり、関節リウマチの治療を意図したときの有効性を評価するには、脱落者も含む[解析2]の結果を重視する。

5 適切
解説4参照。


問293 解答 4

1 誤
抗二本鎖DNA抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)などの診断に用いられる自己抗体である。

2 誤
抗Sm抗体は、SLEの診断に用いられる自己抗体である。

3 誤
抗リン脂質抗体は、抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断に用いられる自己抗体である。

4 正
抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体は、関節リウマチの診断に用いられる自己抗体である。

5 誤
抗マイクロゾーム抗体は、甲状腺機能異常症の診断に用いられる自己抗体である。

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