解答 1,2バイオ医薬品の微粒子製剤は、分散している粒子の粒子径により、コロイド分散系に分類されるものがある。コロイド粒子の粒子径は1 nm〜1
µm程度であるため、平均粒子径のグラフより本設問の製剤はコロイド分散系である。
コロイド粒子の多くは電荷を有しており、静電相互作用により分散媒中の反対電荷のイオン(対イオン)が引き付けられている。また、コロイド粒子は、熱運動をしている分散媒分子に衝突することにより、不規則に動き回る。この不規則な運動をブラウン運動という。コロイド粒子がブラウン運動などで移動するときは、コロイド粒子のみが独立して動くのではなく、その近傍のイオンや水分子も一体となって移動する。この一体となって移動する部分と追従できず取り残される部分の境界面をすべり面とよび、すべり面の電位をゼータ電位という。
ゼータ電位は、pH変化に伴うコロイド粒子の電荷変化が原因となり、変化する。また、コロイド粒子の電荷変化は凝集性も変化させる。同符号のゼータ電位をもつコロイド粒子同士には静電的反発力が働き、ゼータ電位の絶対値が大きいほど粒子同士は互いに近づくことが難しくなる。これにより、分散状態を長期間維持することができる。逆に、ゼータ電位の絶対値が小さいほど静電的反発力は弱まり、ファンデルワールス力に基づく引力が上回ったとき、粒子同士は互いに引き付け合い、凝集が生じやすくなる。
分散媒溶液のpHが小さい(pH1〜4付近の)場合、グラフより、ゼータ電位は25 mV以上を示しており、コロイド粒子は正に帯電しているとわかる。その結果、粒子同士には静電的反発力が大きく働き、凝集性は低くなる。凝集しにくいため、一次粒子(個々の粒子)のままの状態で存在し、平均粒子径は小さくなる。
分散媒溶液のpHが5付近の場合、グラフより、ゼータ電位は0 mVを示しており、コロイド粒子は電気的に中性であるとわかる。その結果、粒子同士の静電的反発力は最も小さくなり、凝集性は最も高くなる。凝集しやすいため、二次粒子(一次粒子の凝集体)を形成するようになり、平均粒子径は大きくなる。なお、このときのpHを等電点という。
分散媒溶液のpHが大きい(pH7〜11付近の)場合、グラフより、ゼータ電位は-25 mV以下を示しており、コロイド粒子は負に帯電しているとわかる。その結果、粒子同士には静電的反発力が大きく働き、凝集性は低くなる。凝集しにくいため、一次粒子のままの状態で存在し、平均粒子径は小さくなる。
1正pH2の場合、ゼータ電位は正の値を示している。したがって、分散粒子は正に帯電している。
2正pH5付近の場合、ゼータ電位は0 mVを示しており、コロイド粒子は電気的に中性であるとわかる。その結果、粒子同士の静電的反発力は最も小さくなり、凝集性は最も高くなる。
3誤pH6付近の場合、ゼータ電位は負の値を示しており、粒子表面は負に帯電しているとわかる。粒子表面が電気的に中性であるのは、ゼータ電位が0 mVとなるpH5付近である。
4誤凝析とは、疎水コロイドに少量の電解質(塩類)を加えて起こる凝集のことである。pHに依存して起こる現象ではない。なお、pH8以上の場合、ゼータ電位は-25 mV以下を示しており、コロイド粒子は負に帯電しているとわかる。その結果、粒子同士には静電的反発力が大きく働き、粒子は凝集せず分散している。
5誤コロイド粒子同士の静電的反発力は、塩を加えることで低下するため、粒子の分散性は低下する。なお、疎水コロイドに少量の電解質(塩類)を加えて起こる凝集のことを凝析、親水コロイドに多量の電解質(塩類)を加えて起こる凝集のことを塩析という。