平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
必須問題 - 問 1

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問 1  正答率 : 92.6%

 国家試験問題

国家試験問題
系の乱雑さを定量的に表す熱力学量はどれか。1つ選べ。

1 内部エネルギー


2 エンタルピー


3 エントロピー


4 ギブズエネルギー


5 化学ポテンシャル

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問 1    

 e-REC解説

解答 3

1 誤
内部エネルギーUとは、系を構築している原子や分子の運動エネルギー(振動、回転、並進)や、相互の位置関係に基づく位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)のほか、原子や分子を構築している陽子、中性子、電子の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを含めた系のもつ全エネルギーのことである。熱力学第一法則によれば、内部エネルギーの絶対量は必要なく、変化量ΔUが重要であるとなっている。内部エネルギーの変化量ΔUは以下の式で表される。
103-001-1.png

2 誤
エンタルピーHとは、熱含量を示し、以下の式で表される。

103-001-2.png

エンタルピーの変化量ΔHにより、化学反応における熱エネルギーの放出または吸収の判断をすることができる。ΔHが負であれば熱エネルギーの放出を伴う発熱反応であり、ΔHが正であれば熱エネルギーの吸収を伴う吸熱反応を示す。

3 正
エントロピーSとは、系の乱雑さを表す尺度である。物質やエネルギーの乱雑さが増大すればエントロピーは増大し、乱雑さが減少すればエントロピーは減少する。

4 誤
ギブズエネルギーGとは、系の自発性に関わる熱力学関数で、定温定圧過程において用いられ、以下の式で表される。

103-001-3.png

ギブズエネルギーが小さいほど熱力学的に安定であるといえる。そのため、定温定圧で系の反応が自発的に進行するとき、系のギブズエネルギーは減少し(ΔG<0)、系の反応が平衡状態であれば、ギブズエネルギーは一定となる(ΔG=0)。

5 誤
化学ポテンシャルµとは、示強性の状態関数で、多成分系の各成分1モル当たりのギブズエネルギーのことをいう。

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