令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 101

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問 101  正答率 : 54.6%

 国家試験問題

国家試験問題
有機化合物A〜Dが100 mgずつ含まれるジエチルエーテル(エーテル)溶液100 mLについて、エーテルと同体積の各水溶液を用いて、分液ロートによる以下の操作を行った。このとき分液操作②によって得られた水層には、有機化合物Dの塩が主に含まれていた。有機化合物A〜Dを分離する分液操作の組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

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ア 2 mol/L塩酸を用いる分液操作
イ 2 mol/L NaOH水溶液を用いる分液操作
ウ 飽和NaHCO3水溶液を用いる分液操作

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問 101    

 e-REC解説

解答 6

一般に有機化合物の分子形は有機溶媒に溶け、塩(イオン形)は水によく溶ける。また、酸塩基反応によって塩を生成することで化合物を有機層から水層へ移動させることができる。この原理を利用し、本問では酸性度の異なる有機化合物A〜Dの混合物を分離している。

化合物A〜Dの性質を以下のように整理する。
A:メトキシベンゼン(中性)。
B:安息香酸(酸性)。塩基(NaOH、NaHCO3)によって塩を形成。
C:アニリン(塩基性)。強酸(塩酸)によって塩を形成。
D:フェノール(弱酸性)。強塩基(NaOH)によって塩を形成。NaHCO3によっては塩を形成しない。

分液操作②によって得られた水層にDの塩が主に含まれていたことから。分液操作②はイ(2 mol/L NaOH水溶液を用いる分液操作)と推測できる。
一方で、分液操作②によって得られた水層にBの塩が含まれている記述がない。このことから、分液操作①終了時点でBは塩として水層に分離されたと予想される。すなわち、分液操作①終了時点でDは分子形のまま、Bは塩となる。これを満たす分液操作①はウ(飽和NaHCO3水溶液を用いる分液操作)のみである。なお分液操作③において、ア(2 mol/L 塩酸を用いる分液操作)を行うことで、Cが水層に分離され、Aがエーテル層に残る。
よって、分液操作①はウ(飽和NaHCO3水溶液を用いる分液操作)、②はイ(2 mol/L NaOH水溶液を用いる分液操作)、③はア(2 mol/L 塩酸を用いる分液操作)が行われている。

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