令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 102

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問 102  正答率 : 65.2%

 国家試験問題

国家試験問題
エタノール中、ナトリウムエトキシドによる(S )−2−ブロモペンタンのE2反応では、3つのアルケンA〜Cが生成する。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、Newman投影式Ⅰ〜Ⅲは( S )−2−ブロモペンタンの配座異性体を表している。

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1 カルボカチオン中間体を経由する反応である。


2 AとBをあわせた収率は、Cの収率より大きい。


3 臭素原子を塩素原子に置換した出発物質を用いると、脱離反応が遅くなる。


4 ナトリウムエトキシドの濃度を変えても、反応速度は変化しない。


5 配座異性体Ⅰ〜Ⅲのうち、ⅢからAが生成する。

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問 102    

 e-REC解説

解答 2、3

1 誤
E2反応はカルボカチオン中間体を経由しない。

2 正
E2反応では脱離可能なプロトンが複数存在する場合、基本的にSaytzeff則に従い、置換基の多いアルケンが優先的に生成する。A、Bは二置換アルケンであり、Cは一置換アルケンであることからAとBをあわせた収率は、Cの収率より大きい。

3 正
ハロゲン原子は原子半径が大きいほど脱離しやすいため、臭素原子を塩素原子に置換した出発物質を用いると、脱離反応が遅くなる。

4 誤
E2反応の反応速度は基質の濃度と試薬の濃度の両方に依存する。すなわち試薬であるナトリウムエトキシドの濃度を変えると反応速度も変化する。

5 誤
E2反応では脱離するハロゲン原子と水素原子は同一平面上の反対側(アンチペリプラナー)の配座をとる。配座異性体Ⅰ〜Ⅲから生成される生成物(アルケン)を考える際には脱離するハロゲン原子と水素原子はどこか、その他の置換基同士の配置はどのようになっているか、の2点に留意すると下図の通り反応が進行し、ⅢからBが生成する。

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