令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 105

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問 105  正答率 : 42.5%

 国家試験問題

国家試験問題
下図は、アセチルCoAが生合成される一連の反応を模式的に示している。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

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1 構造式アのMg2+は、リン酸部位の陰イオンを電気的に中和し、リン原子の求電子性を高めている。


2 矢印イで示した酸素原子は、酢酸イオンに由来する。


3 アセチルCoAの点線で囲ったカルボニル基の炭素原子は、矢印ウの硫黄原子を酸素原子に置換したものに比べて求電子性が低い。


4 矢印エで示したリン原子は、5価4配位構造をもつキラル中心である。


5 アセチルCoAが生合成される過程において、CoA−SHのスルファニル基(チオール基)オは求核剤として作用し、SN2反応によりアセチル化される。

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問 105    

 e-REC解説

解答 1、2

1 正
構造式ア(アデノシン三リン酸:ATP)のMg2+は、リン酸部位の陰イオンを電気的に中和し、リン原子の求電子性を高めている。

2 正
Mg2+によって求電子性が高まったリン原子と酢酸イオンが以下のように反応するため、矢印イで示された酸素原子は酢酸イオンに由来する。
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3 誤
アセチルCoAの点線で囲ったカルボニル基の炭素原子(チオエステルのカルボニル炭素)は、矢印ウの硫黄原子を酸素原子に置換したもの(エステルのカルボニル炭素)に比べて求電子性が高い。これは、硫黄原子が酸素原子ほどカルボニル炭素の正電荷を共鳴安定化できないためである。
スクリーンショット 2025-05-28 18.18.54.png


4 誤
矢印エで示したリン原子は、5価4配位構造をもつが、等価な酸素原子を有するためキラル中心とならない。(下図において赤色で示した酸素原子は共鳴により入れ替わることができるため、等価な酸素原子と見なされる。)
スクリーンショット 2025-05-28 18.19.51.png


5 誤
アセチルCoAが生合成される過程において、CoA−SHのスルファニル基(チオール基)オは求核剤として作用するが、SN2反応(求核剤の付加と脱離基の脱離が同時に起きる反応)ではなく付加脱離反応(求核剤の付加した後に、脱離基の脱離が起きる反応)によりアセチル化される。
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