平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 111

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問 111  正答率 : 63.4%

 国家試験問題

国家試験問題
ヒトの微小管に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 体細胞分裂の際に生じる紡錘糸は、微小管により構成されている。


2 微小管はアクチンとミオシンが重合したものである。


3 神経細胞において、微小管は軸索輸送に関与する。


4 微小管の脱重合を阻害すると、腫瘍細胞の増殖が促進される。


5 微小管は、細胞外マトリックスの主要な成分の1つである。

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問 111    

 e-REC解説

解答 1、3

1 正
体細胞分裂の際に生成する紡錘糸は、微小管の重合により構成される。以下に体細胞分裂について示す。
スクリーンショット 2019-06-14 10.04.08.png


2 誤
微小管は、チューブリン(α−チューブリンとβ−チューブリン)と呼ばれる球状タンパク質が重合した管状の繊維であり、アクチンとミオシンが重合したものではない。

3 正
神経細胞において、微小管は軸索に沿って小胞を輸送する軸索輸送に関与する。軸索輸送には
モータータンパク質であるキネシンとダイニンが関与しており、キネシンは微小管のプラス端側(神経細胞の細胞膜側)に小胞を輸送する順行性輸送、ダイニンはマイナス端側(神経細胞の中心体側)に小胞を輸送する逆行性輸送に関与する。

4 誤
体細胞分裂の分裂期後期では、染色体が微小管(紡錘糸)に引っ張られることにより脱重合を起こし、細胞の両極に分裂する(上表参照)。そのため、微小管の脱重合を阻害すると、染色体の分裂が起こらず、細胞分裂が停止してしまうため、腫瘍細胞の増殖は抑制される。このような微小管の脱重合を阻害する医薬品としては、パクリタキセルなどがあげられる。

5 誤
微小管は細胞内に存在するため、細胞外マトリックスの成分とは異なる。細胞外マトリックスとは、組織における細胞外に存在する物質の総称であり、コラーゲンなどの繊維状のタンパク質やプロテオグリカンなどの複合糖質などが該当する。

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