平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 113

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問 113  正答率 : 56.3%

 国家試験問題

国家試験問題
酵素反応に関する説明を読んで以下の問に答えよ。

酵素の速度論的特性を解析するため、ミカエリス・メンテン(Michaelis-Menten)式より導かれる下記のラインウィーバー・バーク(Lineweaver-Burk)式から、図1が作成され汎用されている。
スクリーンショット 2016-08-02 1.02.19.png

なお、vは反応初速度、Kmはミカエリス定数、Vmaxは最大速度(反応初速度νの最大値)[S]は基質Sの濃度を表す。
スクリーンショット 2016-08-02 1.02.49.png

ある酵素Xは基質Sに作用し、2種類の阻害剤YとZによって阻害される。一定濃度の阻害剤Y又はZの存在下及び非存在下で、酵素Xの基質Sに対する反応初速度vを測定し、図2を得た。以下の記述のうち正しい考察はどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2016-08-02 1.03.16.png


1 阻害剤Yは、基質Sと結合して酵素Xの反応初速度νを変化させる。


2 基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxは、阻害剤Yの有無に関わらず等しくなる。


3 阻害剤Zは、基質Sが結合する酵素Xの部位(基質結合部位)に結合する。


4 基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxは、阻害剤Zが存在しても変化しない。


5 阻害剤Zが存在しても、酵素Xの基質Sに対する見かけの親和性は変化しない。

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問 113    

 e-REC解説

解答 2、5

グラフより、阻害剤非添加の場合と比較して阻害剤Yの添加によって、1/Vmaxの値は変化せず、−1/Kmの値が増加している。つまり、Vmaxは変化せず、Kmが増加していることから、阻害剤Yは競合阻害剤であることがわかる。また、同様に阻害剤非添加の場合と比較して阻害剤Zの添加によって、1/Vmaxの値が増加し、−1/Kmの値は変化していない。つまり、Vmaxは低下しており、Kmが変化していないことから、阻害剤Zは非競合阻害剤であることがわかる。
スクリーンショット 2016-08-02 1.05.07.png
競合阻害剤の存在により、Vmaxは変化しないが、Kmは大きくなる。
スクリーンショット 2016-08-02 1.06.12.png
非競合阻害剤の存在により、Vmaxは小さくなるが、Kmは変化しない。

1 誤
阻害剤Yは競合阻害剤であり、基質Sと構造が類似している。基質Sと阻害剤Yが酵素Xの同一部位に対して競合的に結合し酵素Xの基質Sに対する反応初速度vを変化させる。

2 正
阻害剤Yは競合阻害剤であるため、基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxは変化しない。

3 誤
阻害剤Zは非競合阻害剤であり、阻害剤Zは基質Sが結合する酵素Xの部位とは異なる部位に結合する。

4 誤
阻害剤Zは非競合阻害剤であるため、基質Sの濃度[S]を十分に増加させたときの最大速度Vmaxが小さくなる。

5 正
酵素Xの基質Sに対する見かけの親和性はミカエリス定数Kmを用いて判断することができる。阻害剤Zが存在しても、ミカエリス定数Kmは変化しないため、酵素Xの基質Sに対する見かけの親和性は変化しない。

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