令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 114

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問 114  正答率 : 45.7%

 国家試験問題

国家試験問題
ヒトにおける脂肪酸の生合成に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ミトコンドリアで行われる。


2 アシル鎖の伸長過程で、補酵素としてNADHが利用される。


3 クエン酸により促進される。


4 アセチルCoAを前駆物質としてリノール酸が合成される。


5 アセチルCoAをマロニルCoAに転換する反応が律速段階である。

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問 114    

 e-REC解説

解答 3、5

1 誤
ヒトにおいて、パルミチン酸(炭素数16の飽和脂肪酸)までの脂肪酸の生合成は細胞質で行われ、ステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)以降の生合成は主に小胞体で行われる。なお、ミトコンドリアのマトリックスで行われるのは脂肪酸の分解(β酸化)であり、脂肪酸の生合成は行われない。

2 誤
アシル鎖の伸長過程で、補酵素として利用されるのはNADPHである。NADPHはアシル鎖の伸長過程において行われる還元反応に用いられる。

3 正
ヒトの脂肪酸生合成過程における律速段階は、アセチルCoAカルボキシラーゼが触媒する炭酸固定反応である。通常クエン酸は、クエン酸回路により代謝されてATPの産生に利用される。しかし、栄養状態が良好でATPの産生が必要ではない場合、クエン酸はミトコンドリアから細胞質に移動し、アセチルCoAカルボキシラーゼの活性化を行う。

4 誤
リノール酸(炭素数18で二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸)は、ヒトにおいてアセチルCoAを前駆体として合成することはできない。アセチルCoAから合成されたステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)に不飽和化酵素を働かせ、オレイン酸(炭素数18で二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸)を生成することはできるが、リノール酸を生成することはできない。これはオレイン酸がω9系の不飽和脂肪酸であるのに対して、リノール酸はω6系の不飽和脂肪酸であり、異なる系であるためである。

5 正
アセチルCoAをマロニルCoAに転換する反応はアセチルCoAカルボキシラーゼが触媒する炭酸固定反応であり、ヒトの脂肪酸生合成過程における律速段階である。

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