平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 114

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問 114  正答率 : 56.8%

 国家試験問題

国家試験問題
乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH)は、下記の反応を触媒する酵素である。

スクリーンショット 2017-04-03 22.01.20.png

図1は、ヒト心臓の細胞質にあるLDHのアイソザイムを用いて、さまざまなpHの溶液中で、ピルビン酸(P)からL-乳酸(L)が生成する反応(P→L)、あるいはL-乳酸からピルビン酸が生成する反応(L→P)について調べたときの酵素活性の相対値を示している。また、図2は、NADとNADHの吸収スペクトルを示している。
スクリーンショット 2017-04-03 22.02.06.png

L-乳酸を基質として血清中の本酵素の活性を測定するとき、方法と考察に関する記述のうち適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 反応液は、血清(披検試料)、L-乳酸、NAD及び緩衝液から成る。


2 試料である血清を加えない反応液を調製し、これについても同様に測定する。


3 活性測定に用いる緩衝液のpHは、8.5に調整する。


4 一定時間反応させた後、反応液の340 nmの吸光度の減少を測定する。


5 血清中の本酵素の活性は、心臓傷害の指標になると考えられる。

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問 114    

 e-REC解説

解答 4

本設問に、「L-乳酸を基質として血清中の本酵素の活性を測定するとき」とあるため、下記の反応(L→P)について考える。
スクリーンショット 2017-04-03 22.03.31.png


1 適切
(L→P)について調べるため、血清(被検試料)、L-乳酸、NAD及び緩衝液から成る反応液を用いる。

2 適切
被検試料(血清)を含まない反応液を用いて対照実験を行い、試料以外に起因するLDH活性を補正する。

3 適切
図1より、L→P反応の最適pH(LDH活性の相対値が最大値を示すpH)は8.5であるため、活性測定に用いる緩衝液のpHは8.5に調整する。

4 不適切
(L→P)では、ピルビン酸、NADH、Hが生じる。図2よりNADHは340 nmに吸収極大をもつため、340 nmの吸光度の増加を測定することによって酵素活性を測定する。

5 適切
心筋に存在するLDHは、心筋梗塞等の心臓傷害に際して心細胞内から血液中に漏出する。よって、血清中のLDH活性は、心臓傷害の指標となる。

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