平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 119

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問 119  正答率 : 84.5%

 国家試験問題

国家試験問題
下図は、ある抗原をマウスに投与したときの血液中の抗体価を調べた実験結果である。実験では、同一の抗原を矢印(1)及び(2)で示す時期に投与した。曲線A及びBは、それぞれIgGあるいはIgMのいずれかの測定値である。これに関連する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2016-07-01 9.41.48.png

1 曲線AはIgG、曲線BはIgMの測定値をそれぞれ示している。


2 曲線Bの30日目以降に認められる抗体価の急激な上昇には、記憶細胞の形成が関与する。


3 (2)の抗原投与の後、曲線Bのように急激に抗体価が上昇する現象は、自然免疫の特徴である。


4 (2)の抗原投与の後、曲線Aに比べ曲線Bがより顕著に上昇する現象には、抗体のクラススイッチが関与する。

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問 119    

 e-REC解説

解答 2、4

B細胞が抗原をB細胞受容体(BCR:B細胞細胞膜表面に存在するIgM、IgD)を介してB細胞内に取り入れた後、クラスⅡMHCで抗原提示すると、ヘルパーT細胞がサイトカインを分泌する。それにより、B細胞は形質細胞へと分化・増殖し抗体を産生する。

1 誤
一次免疫応答では、IgMが先に産生され、遅れて、IgGが産生されるため、曲線AはIgM、曲線BはIgGの測定値をそれぞれ示している。
一次免疫応答:ある抗原が生体に初めて侵入したときに起こる免疫反応

2 正
2度目の抗原刺激によってみられる急激な抗体価の上昇は、一次免疫応答で形成された記憶担当B細胞が関与している。

3 誤
(2)の抗原投与の後、曲線Bのように急激に抗体価が上昇する現象は、獲得免疫の特徴である。なお、マクロファージや好中球、ナチュラルキラー細胞による自然免疫では、2度目の抗原刺激により、免疫機能が亢進することはない。

4 正
クラススイッチとは、産生する抗体の可変部(V領域)のアミノ酸を変えずに、定常部(C領域)のアミノ酸配列が変化する現象のことである。一次免疫応答時、一部のB細胞はクラススイッチによりIgGを産生することができる記憶担当B細胞となるため、(2)の抗原投与後、曲線Aに比べ曲線Bがより顕著に抗体価が上昇する現象がみられる。

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