令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 122

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問 122  正答率 : 52.3%

 国家試験問題

国家試験問題
下表は、日本人を対象とした5つのコホート研究のデータを統合して解析し、男性の飲酒量と大腸がん、結腸がん及び直腸がんの関係について調べた結果である。この表に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、下表を基に算出した「飲酒しない群」の大腸がん発症率は10万観察人年当たり142人、「23.0 g/日以上のアルコール摂取群」の大腸がん発症率は10万観察人年当たり196人である。

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American Journal of Epidemiology 2008;167:1397-1406を基に作成
(注1)表中の「観察人年」は、観察した人数とその観察期間の積である。
(注2)ハザード比の基準は「飲酒しない」群である。

1 週に1回未満の飲酒であっても、 飲酒は大腸がんのリスクを有意に増加させる。


2 22.9 g/日以下のアルコール摂取であっても、週に1回以上の飲酒は直腸がんのリスクを有意に増加させる。


3 23.0 g/日以上のアルコール摂取は、結腸がんのリスクを有意に増加させる。


4 飲酒しない群と比較して、23.0 g/日以上アルコールを摂取する日本人男性では、飲酒によって10万観察人年当たり338人が過剰に大腸がんを発症すると推定される。


5 飲酒しない群と比較して、23.0 g/日以上アルコールを摂取する日本人男性の大腸がんのうち、28%は飲酒によるものであると推定される。

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問 122    

 e-REC解説

解答 3、5

ハザード比の95%信頼区間が1を挟んでいる場合、両群の間に有意な差は認められない。また、95%信頼区間の下限が1を超えている場合は発症のリスクを有意に増加させ、95%信頼区間の上限が1未満である場合は発症のリスクを有意に低下させる。

1 誤
「飲酒しない群」に対する「週に1回未満の飲酒群」の大腸がん発症のハザード比の95%信頼区間は0.79-1.28であり、1を挟んでいるため、大腸がんのリスクについて両群の間で有意な差は認められない。

2 誤
「飲酒しない群」に対する「週に1回以上、22.9 g/日以下のアルコール摂取群」の直腸がん発症のハザード比の95%信頼区間は0.90-1.56であり、1を挟んでいるため、直腸がんのリスクについて両群の間で有意な差は認められない。

3 正
「飲酒しない群」に対する「週に1回以上、23.0 g/日以上のアルコール摂取群」の結腸がん発症のハザード比の95%信頼区間は、23.0 g/日以上のいずれの群においても下限が1を超えているため、23.0g/日以上のアルコール摂取は結腸がんのリスクを有意に増加させる。

4 誤
10万観察人年当たりの大腸がんの発症数は、「飲酒しない群」では142人であるのに対し、「23.0 g/日以上のアルコール摂取群」では196人である。よって飲酒により大腸がんを発症する人数は54人(196人-142人)となる。

5 正
解説4より、「23.0 g/日以上アルコールを摂取群」の10万観察人年当たりの大腸がんの発症数196人のうち、54人が飲酒により大腸がんを発症した人数であることがわかり、その割合は約28%(54人/196人)となる。

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