平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 123

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問 123  正答率 : 48.3%

 国家試験問題

国家試験問題
食品に由来する有害物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 ポテトチップスを製造する際の加熱時に、ジャガイモに多く含まれるアスパラギンが糖と反応してアクリルアミドが生じる。


2 魚の焼け焦げの部分に含まれるトリプトファン由来の変異原性物質は、トリプタミンである。


3 マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は発がん性を示すため、食品中含量の表示が義務づけられている。


4 魚に含まれる2級アミンが胃の中で塩酸と反応することにより、ニトロソアミンが生じる。


5 輸入ピーナッツと同時に、コウジ菌を用いる味噌・醤油についても、食品中のアフラトキシン濃度が重点的に検査されている。

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問 123    

 e-REC解説

解答 1

1 正
アクリルアミドは、ジャガイモなどの食品に含まれるアスパラギンと糖がメイラード反応(非酵素的褐変現象)を起こして生成する有害物質であり、神経障害を引き起こす。なお、メイラード反応では、アミノ酸、ペプチド、タンパク質などのアミノ化合物のアミノ基と還元糖のカルボニル基が非酵素的に反応してメラノイジン(褐色色素)を生じる。

2 誤
魚の焼け焦げ部分に含まれるトリプトファン由来の変異原性物質は、ヘテロサイクリックアミン(タンパク熱分解物)の一種であるTrp-P-1及びTrp-P-2である。なお、トリプタミンは、トリプトファンが微生物による脱炭酸反応を受けて生じる腐敗アミンである。

3 誤
我が国では、トランス脂肪酸の食品中含量の表示は義務づけられていない。トランス脂肪酸は、常温で液体として存在する植物油や魚油から半固形又は固形の油脂(マーガリンやショートニング)を製造する加工技術である「水素付加」によって生じることがあり、トランス脂肪酸の摂取によって冠動脈疾患のリスクが高まることが報告されている。

4 誤
魚に含まれる2級アミンが胃の中(酸性条件下)で亜硝酸(野菜の中の硝酸塩が口腔内細菌により還元されて生成、および食品添加物)と反応することにより、発がん物質であるニトロソアミンが生じる。

5 誤
アフラトキシンはAspergillus flavusが産生するマイコトキシンであり、肝がんを引き起こす発がん物質である。ピーナッツなどのナッツ類やトウモロコシなどの穀物は、アフラトキシンによる汚染を受けやすいため、輸入した際に食品衛生法に基づき食品中のアフラトキシン濃度が重点的に検査されている。コウジ菌(Aspergillus oryzae)は、アフラトキシンを産生しないため、食品中のアフラトキシン濃度の重点的な検査は行われていない。

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