平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 149

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問 149  正答率 : 84.7%

 国家試験問題

国家試験問題
遺伝子診断によって起こりうる倫理的問題又はその対応に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 遺伝子診断に当たっては、検査前だけでなく診断後も被検者に対して適切なカウンセリングが必要である。


2 診断結果の開示には、被検者本人の自己情報コントロール権への配慮が必要である。


3 重篤な遺伝病の原因遺伝子保因者と診断された場合は、被検者本人だけでなく血縁者も診断結果を知る必要がある。


4 遺伝病者や保因者は社会的差別や偏見によって不利益を被る可能性がある。


5 出生前診断は、診断結果が生命の選択や優生思想の問題を引き起こす可能性がある。

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問 149    

 e-REC解説

解答 3

1 正しい
遺伝子診断に伴うカウンセリングは、疾患の遺伝的関与について、医学的影響、心理的影響及び家族への影響等を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスであると考えられており、遺伝子診断の検査前だけでなく診断後も適宜行うことが必要である。

2 正しい
自己情報コントロール権とは、自身についての情報を取捨選択する権利である。これは、自分の情報を「他人に知らせない権利」の他、自分の情報を「知る権利」、自己に関する情報が自分に入ってこないことを決定する権利、すなわち「知らされない権利」も含まれる。遺伝子診断の結果の開示に被検者本人の自己情報コントロール権への配慮が必要な理由は、本人が知らないところでの個人情報のやり取りや本人に不利益となる個人情報の使い方を防ぐなど被験者のプライバシーや個人の尊厳を守るためである。

3 誤っている
遺伝病の原因遺伝子保因者と診断され、治療法がないかつ重篤な場合は、被験者本人の尊厳を守るため、本人だけでなく血縁者にも診断結果について「知らされない権利」の考慮が必要である。

4 正しい
遺伝病者や保因者は社会的差別や偏見によって、就職・結婚・保険加入などで不利益を被る可能性がある。また、遺伝子診断の診断結果が、人種差別の論拠として使用されるおそれがある。

5 正しい
出生前診断は、診断結果が胎児に先天性異常が見られた場合、人工中絶などによる生命の選択や優れた能力を有する者の遺伝子を後世に遺そうという優生思想の問題を引き起こす可能性がある。

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