平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 154

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問 154  正答率 : 58.5%

 国家試験問題

国家試験問題
統合失調症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ハロペリドールは、黒質-線条体ドパミン神経系を介する過剰な神経伝達を抑制することで陽性症状を改善する。


2 クエチアピンは、セロトニン5-HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断する。


3 アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用する。


4 パリペリドンは、主に大脳皮質のセロトニン5-HT2A受容体を刺激することで陰性症状を改善する。


5 クロルプロマジンは、腹側被蓋野-側坐核ドパミン神経を介する過剰な神経伝達を抑制することで制吐作用を示す。

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問 154    

 e-REC解説

解答 2、3

1 誤
ハロペリドールは、ブチロフェノン系の統合失調症治療薬であり、中脳辺縁系のドパミン神経系におけるドパミンD2受容体を遮断することで陽性症状を改善する。なお、黒質-線条体ドパミン神経系におけるドパミンD2受容体の遮断は、副作用である錐体外路症状の発現に関与している。

2 正
クエチアピンは、多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)であり、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1受容体など多くの受容体を遮断し、陽性症状及び陰性症状を改善する。

3 正
アリピプラゾールは、ドパミン・システムスタビラーザー(DSS)であり、ドパミンD2受容体部分刺激作用を示す。脳内でドパミンが大量に放出されているときには抑制的に、少量放出時には促進的に作用し、ドパミン神経系を安定させる。また、アリピプラゾールは、セロトニン5-HT1A受容体部分刺激作用及びセロトニン5-HT2A受容体遮断作用も併せもつ。

4 誤
パリペリドンは、セロトニン・ドパミンアンタゴニスト(SDA)であるリスペリドンの活性代謝物であり、中枢に存在するドパミンD2受容体とセロトニン5-HT2Aを遮断することで陽性症状及び陰性症状を改善する。

5 誤
クロルプロマジンは、フェノチアジン系の統合失調症治療薬であり、中脳腹側被蓋野-側坐核のドパミンD2受容体を遮断することで陽性症状を改善するほか、延髄化学受容器引金帯(CTZ)におけるドパミンD2受容体を遮断することで制吐作用を示す。

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