平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 160

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問 160  正答率 : 56.4%

 国家試験問題

国家試験問題
脂質異常症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 コレスチミドは、コレステロールの胆汁への異化排泄を促進することで、血中LDLコレステロール量を低下させる。


2 シンバスタチンは、肝細胞でアセチルCoAからHMG-CoAへの変換酵素を阻害することで、コレステロールの産生を抑制する。


3 エゼチミブは、小腸コレステロールトランスポーターを阻害することで、コレステロールの吸収を選択的に阻害する。


4 ベザフィブラートは、脂肪細胞のPPARαを阻害することで、血中LDLコレステロール量を低下させる。


5 ニコモールは、脂肪細胞のニコチン酸受容体を刺激することで、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制する。

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問 160    

 e-REC解説

解答 3、5

1 誤
コレスチミドは、陰イオン交換樹脂であり、腸管内で胆汁酸と結合し胆汁酸排泄を促進する。これにより、肝細胞内でコレステロールから胆汁酸への異化が亢進し、肝臓でのコレステロール需要が高まることで、肝細胞表面のLDL受容体数が増加し、血中LDLコレステロール量が低下する。なお、本設問のコレステロールの胆汁への異化排泄を促進する薬物は、プロブコールを意図して出題されたものであると考えられるが、コレスチミドの添付文書にも、胆汁酸と吸着することによる排泄促進作用や、それに伴う間接的なコレステロールから胆汁酸への異化亢進作用などを介した血清総コレステロールの減少作用に関する記載があり、間接的な作用を考慮した場合には「正」とも判断できる可能性がある。

2 誤
シンバスタチンは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)からメバロン酸への変換酵素であるHMG−CoA還元酵素を阻害してコレステロールの産生を抑制し、肝細胞中のコレステロール量を低下させ、肝細胞表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させる。その結果、血中LDLが肝臓に取り込まれることで、血中LDLコレステロール量が低下する。

3 正
エゼチミブは、小腸粘膜上のコレステロールトランスポーター(NPC1L1)を選択的に阻害することにより、小腸におけるコレステロール吸収を阻害する。

4 誤
ベザフィブラートは、脂肪細胞のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)を刺激することにより、リポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化し、TGの加水分解を促進することで、血中TGを低下させる。そのほか、コレステロール生合成抑制作用、LDL受容体活性化作用などを有し、血中LDLコレステロール量を低下させる。

5 正
ニコモールは、脂肪細胞のニコチン酸受容体を刺激することで、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制する。その結果、肝臓での超低比重リポタンパク質(VLDL)の合成を抑制することにより血清トリグリセリド量を低下させる。

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