令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 170

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問 170  正答率 : 60.8%

 国家試験問題

国家試験問題
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ペプチドトランスポーターPEPT1によるバラシクロビル輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。


2 有機アニオントランスポーターOAT1によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。


3 シクロスポリンは有機アニオントランスポーターOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。


4 カルビドパは血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、脳へ移行する。


5 シスプラチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるため、ジゴキシンの尿細管分泌を競合的に阻害する。

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問 170    

 e-REC解説

解答 1、3

1 正
ペプチドトランスポーターPEPT1は、プロトン濃度勾配を駆動力とし、バラシクロビルなどを輸送する二次性能動輸送担体である。

2 誤
有機アニオントランスポーターOAT1は、ATP加水分解エネルギーを間接的に利用し、メトトレキサートなどを輸送する二次性能動輸送担体である。なお、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する一次性能動輸送担体は、Na,K-ATPase、P−糖タンパク質等がある。

3 正
シクロスポリンは、肝実質細胞の血管側に発現する有機アニオントランスポーターOATP1B1を阻害するため、プラバスタチンなどの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。

4 誤
カルビドパは、末梢血管においてレボドパを分解する酵素である脱炭酸酵素を阻害し、血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、レボドパの脳への移行を促進させる。

5 誤
シスプラチンは、近位尿細管上皮細胞の側底膜側などに発現する有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるため、シメチジンなどの尿細管分泌を競合的に阻害する。なお、ジゴキシンは、近位尿細管上皮細胞の刷子縁膜側などに発現するP−糖タンパク質の基質であるため、キニジンなどの尿細管分泌を競合的に阻害する。したがって、シスプラチンとジゴキシンは、異なるトランスポーターを介して尿細分泌されるため、競合的に阻害されることはない。

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