平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 172

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問 172  正答率 : 77.4%

 国家試験問題

国家試験問題
以下のア、イ、ウで示される物質を様々な濃度で水に溶解し、一定温度下で濃度と表面張力の関係を調べたところ、下図に示すⅠ、Ⅱ、Ⅲのようになった。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2017-10-23 12.45.44.png

1 曲線Ⅰを示す物質は「ア」である。


2 曲線Ⅰにおいて、Cより高い濃度では水相表面における物質の濃度(吸着量)は飽和して一定である。


3 曲線Ⅱを示す物質は「ウ」である。


4 曲線Ⅰ、Ⅱのように右下がりの曲線となるような物質の水相表面への吸着様式を正吸着という。


5 曲線Ⅲを示す物質は「イ」であり、水中より水相表面の濃度が低くなる。

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問 172    

 e-REC解説

解答 2、4

設問における物質ア、イ、ウの特徴を次に示す。
スクリーンショット 2017-10-23 12.49.07.png

1 誤
曲線Ⅰを示す物質は「イ」のラウリル硫酸ナトリウムである。

2 正
曲線Ⅰにおいて、C(臨界ミセル形成濃度:cmc)に達しているため、水相表面におけるラウリル硫酸ナトリウムの吸着量は飽和して一定である。ちなみに臨界ミセル形成濃度とは、下記に示す図①〜④のように界面活性剤の濃度を変化させた時、水相表面における吸着量が飽和し、水中でミセルと呼ばれる会合体を形成する図③の状態になる時の界面活性剤濃度のことをいう。
スクリーンショット 2017-10-23 12.50.15.png

3 誤
曲線Ⅱを示す物質は「ア」のプロパノールである。

4 正
曲線Ⅰ、Ⅱのように右下がりの曲線となるような物質(溶質濃度の増加に伴い表面張力が低下する物質)の水相表面への吸着様式を正吸着という。これに対して、曲線Ⅲのように右上がりになるような物質(溶質の濃度の増加に伴い表面張力が増加する物質)の水相表面への吸着様式をを負吸着という。

5 誤
曲線Ⅲを示す物質は「ウ」の塩化ナトリウムである。無機塩類(ナトリウムイオンやクロライドイオン)は水和して水相表面には出てこないので、水相内部の濃度より水相表面の濃度が低くなる。

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