平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 173

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問 173  正答率 : 66.7%

 国家試験問題

国家試験問題
高分子及び高分子水溶液に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 天然高分子の分子量は不均一であるが、合成高分子は重合度が均一で分子量の分布はない。


2 高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類や比率によって決まり、直鎖状、分枝状などの構造による影響を受けない。


3 等電点付近のpH領域において、タンパク質は分子が広がった状態となるため、溶液の粘度が高くなる。


4 高分子溶液のコアセルベーションは、相分離により高分子の濃厚な相と希薄な相に分かれる現象である。


5 極限粘度(固有粘度)は、高分子水溶液の還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度→0となるように外挿した時の切片の値である。

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問 173    

 e-REC解説

解答 4、5

1 誤
天然高分子や合成高分子は、モノマー単位での化学構造は同一であるが、重合度(モノマー単位の数)が異なった集合体で存在している。そのため、天然高分子及び合成高分子の分子量は不均一になり、分子量の分布が生じる。

2 誤
高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類や比率以外にも、直鎖状、分枝状などの構造の違いにより分子全体の立体構造が変化するため、構造による影響も受けることがある。

3 誤
等電点とは、アミノ酸やタンパク質のような両性電解質において溶質全体の電荷がゼロになるときのpHのことである。等電点付近のpH領域では、タンパク質の静電気的反発力が弱まるため、タンパク質分子同士が吸着しやすくなり、凝集した状態になるため溶液の粘度は低くなる。

4 正
高分子溶液にアセトン、エチルアルコール、プロピレングリコールなどの親水性の大きい有機溶媒を添加すると、粒子が凝集し、高分子の濃厚な相と希薄な相に分かれる。この現象をコアセルベーションという。

5 正
高分子溶液の粘度をη、溶媒の粘度をηs としたとき、粘度の増加率を比粘度ηspといい、比粘度ηspは①式で示すことができる。
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また、高分子溶液の単位濃度Cあたりの粘度の増加量を還元粘度ηredといい、還元粘度ηredは②式で示すことができる。
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