平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 173

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問 173  正答率 : 36.4%

 国家試験問題

国家試験問題
肝代謝のみで消失する薬物を経口投与する場合において、以下の変化が生じたとする。血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が2倍に上昇するのはどれか。2つ選べ。ただし、この薬物の消化管からの吸収率は100%とし、肝臓での挙動はwell-stirred modelに従うものする。

1 肝血流速度が1/2に低下した場合


2 タンパク結合の置換により血中非結合形分率が2倍に上昇した場合


3 結合タンパク質の増加により血中非結合形分率が1/2に低下した場合


4 肝代謝酵素の誘導により肝固有クリアランスが2倍に増加した場合


5 肝代謝酵素の阻害により肝固有クリアランスが1/2に低下した場合

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問 173    

 e-REC解説

解答 3、5

経口投与時の血中濃度-時間曲線下面積AUCは、①式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 14.34.57.png
バイオアベイラビリティFは、②式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 14.35.05.png
肝で初回通過効果をまぬがれた割合Fhは、③式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 14.35.14.png
肝臓での挙動がwell-stirred modelに従うとすると、肝抽出比Ehは④式、肝クリアランスCLhは⑤式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 14.35.22.png
問題文に「肝代謝のみで消失する薬物」、「この薬物の消化管からの吸収率は100%」とあることから、小腸で初回通過効果をまぬがれた割合Fg=1、全身クリアランスCLtotは肝クリアランスCLhと等しい(CLtot=CLh)、消化管吸収率Fa=1であることがわかる。
これらのことから、血中濃度-時間曲線下面積AUCを以下のように変形することができる。
スクリーンショット 2024-10-31 12.37.00.png
上記より、この薬物の血中濃度-時間曲線下面積AUCは、投与量Dに比例し、血漿タンパク結合率f、肝固有クリアランスCLintに反比例する。よって、結合タンパク質の増加により血中非結合形分率が1/2に低下した場合と肝代謝酵素の阻害により肝固有クリアランスが1/2に低下した場合、この薬物の血中濃度-時間曲線下面積AUCは、2倍に増加する。

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