令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 178

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問 178  正答率 : 47.0%

 国家試験問題

国家試験問題
医薬品の水溶液中における安定性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させることで、安定性が改善する。


2 EDTAは、包接化により医薬品の安定性を改善する。


3 特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、保存するpHを低くすることで安定性が改善する。


4 異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると安定性が改善する。


5 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。

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問 178    

 e-REC解説

解答 1、4

1 正
加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させて懸濁剤とすることで、溶解している薬物濃度を低下させ、加水分解を受けにくくすることで、安定性が改善する。

2 誤
EDTA(エチレンジアミン四酢酸)は、酸化促進作用のある金属イオンにキレートすることで酸化防止剤として働くことで、医薬品の安定性を改善する。なお、包接化により医薬品の安定性を改善するものには、シクロデキストリンなどが挙げられる。

3 誤
特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、Hによって分解が促進する医薬品であるため、保存するpHを高くしてHを少なくすることで安定性が改善する。

4 正
異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると、反応速度定数が低下して分解しにくくなるため、安定性が改善する。なお、溶液中において、イオンA(電荷ZA)とイオンB(電荷ZB)が反応するときの反応速度定数kと溶液中のイオン強度(I )との間には、以下の関係が成立する。(k0I=0のときの反応速度定数)
スクリーンショット 2023-06-06 12.28.06.png


5 誤
同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると、反応速度定数が低下して分解しにくくなるため、安定性が改善する。なお、溶液中において、イオンA(電荷ZA)とイオンB(電荷ZB)が反応するときの反応速度定数kと溶媒の誘電率(ε)との間には、以下の関係が成立する。
スクリーンショット 2023-06-06 12.28.14.png

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