令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 178

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問 178  正答率 : 51.7%

 国家試験問題

国家試験問題
図中の直線は、3種の薬物A、B、Cがそれぞれ溶解補助剤Xと可溶性複合体AX、BX、CXを形成し、溶解度が増大する様子を示している。

スクリーンショット 2025-06-03 14.34.38.png


以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
なお、いずれの場合も安定度定数Kは次式で表される。
スクリーンショット 2025-06-03 14.33.59.png
ただし、[ ]は濃度を示す。

1 溶解補助剤を添加しないとき、薬物の溶解度の大小関係は、A=C>Bである。


2 可溶性複合体AXと可溶性複合体BXの安定度定数は等しい。


3 可溶性複合体AXの安定度定数は、可溶性複合体CXの安定度定数より大きい。


4 可溶性複合体BXの安定度定数は、可溶性複合体CXの安定度定数より小さい。


5 Kの値が小さいほど、薬物とXは安定な可溶性複合体を形成する。

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問 178    

 e-REC解説

解答 1、3

はじめに、安定度定数Kとグラフの読み方について、薬物(A)を例に紹介する。

スクリーンショット 2025-06-03 14.36.46.png

スクリーンショット 2025-06-03 14.37.21.png


本問では、3種の薬物A、B、Cが溶解補助剤Xと形成した可溶性複合体をそれぞれAX、BX、CX、薬物A、B、Cの安定度定数をそれぞれKAKBKCとする。
薬物A、B、Cの溶解度をそれぞれA0、B0、C0とすると、グラフの切片よりA0 = C0 > B0とわかる。

以下、1) 薬物Aと薬物Bの比較、2) 薬物Aと薬物Cの比較、3) 薬物Bと薬物Cの比較の3パターンに分けて、Kの大小関係を求める。

1) 薬物Aと薬物Bの比較
グラフより、AとBは傾きが等しいため、AX = BXとわかる。
よって、X0 - [AX] = X0 - [BX]となる。
さらに、A0 > B0であることから、KAKBとなる。
スクリーンショット 2025-06-03 14.41.35.png

2)薬物Aと薬物Cの比較
グラフより、Aの傾きがCの傾きより大きいため、AX > CXとわかる。
よって、X0 - [AX] < X0 - [CX]となる。
さらに、A0 = C0であることから、KAKCとなる。
スクリーンショット 2025-06-03 14.43.27.png

3)薬物Bと薬物Cの比較
グラフより、Bの傾きがCの傾きより大きいため、BX > CXとわかる。
よって、X0 - [BX] < X0 - [CX]となる。
さらに、B0 < C0であることから、KBKCとなる。
スクリーンショット 2025-06-03 14.45.17.png

1 正
前述の通り、溶解補助剤Xを添加しないとき、薬物の溶解度の大小関係は、A=C>Bである。

2 誤
前述の通り、可溶性複合体AXの安定度定数(KA)は、可溶性複合体BXの安定度定数(KB)より小さい。

3 正
前述の通り、可溶性複合体AXの安定度定数(KA)は、可溶性複合体CXの安定度定数(KC)より大きい。

4 誤
前述の通り、可溶性複合体BXの安定度定数(KB)は、可溶性複合体CXの安定度定数(KC)より大きい。

5 誤
Kの値が大きいほど、薬物とXは安定な可溶性複合体を形成する。

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