令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 187

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問 187  正答率 : 45.7%

 国家試験問題

国家試験問題
25歳女性。身長158 cm、体重53 kg。最近、姿勢の変動に伴い、頭痛、動悸及び発汗を認めたため心配になり病院を受診した。来院時の所見は以下のとおりであった。

血圧188/106 mmHg、脈拍110回/分
血液検査:空腹時血糖値104 mg/dL、HbA1c 5.9%(NGSP値)、Na 137 mEq/L、K 4.2 mEq/L
腹部CT検査:右副腎に5 cm大の腫瘤

検査の結果、右副腎腫瘍の摘出術を行うこととなった。術前の血圧管理のために最初に用いる薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 トリクロルメチアジド


2 プロプラノロール塩酸塩


3 カンデサルタンシレキセチル


4 ニフェジピン


5 ドキサゾシンメシル酸塩

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問 187    

 e-REC解説

解答 5

姿勢の変動に伴う頭痛、動悸及び発汗などの主訴、検査所見で高血圧、右副腎に5 cm大の腫瘤を認めることから、本患者の罹患している疾患は褐色細胞腫であると推測される。
他の副腎に発生する腫瘍性疾患には、原発性アルドステロン症や副腎性クッシング症候群があるが、血中Na濃度、血中K濃度、空腹時血糖値が正常である点から、これらの疾患は除外し、褐色細胞腫と判断することが妥当であると考えられる。
褐色細胞腫は、副腎髄質や交感神経節のクロム親和性細胞から発生する腫瘍であり、副腎髄質ホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンが過剰に分泌される疾患である。このカテコールアミンの過剰分泌に伴い、高血圧、高血糖、代謝亢進(動悸、頻脈など)、発汗、頭痛などの様々な臨床症状を呈する。
治療の第一選択は、副腎腫瘍の外科的摘出手術となるが、術前に薬物療法と補液で循環状態を安定させることも重要であり、褐色細胞腫に伴う高血圧症の薬物治療には、ドキサゾシンメシル酸塩などのα1受容体遮断薬から投与を開始する。なお、頻脈併発時には、プロプラノロール塩酸塩などのβ受容体遮断薬を追加するが、β受容体遮断薬の単独投与は血圧上昇を招くおそれがあるため禁忌である。

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