平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 198,199

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問 198  正答率 : 56.5%
問 199  正答率 : 48.6%

 国家試験問題

国家試験問題
84歳男性。急性膵炎で緊急入院し、注射用ナファモスタットメシル酸塩10 mgを投与することになった。

問198(実務)
この注射剤に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 溶解には、生理食塩液を用いる。


2 約2時間かけて、静脈内に点滴注入する。


3 血管外漏出により、注射部位に炎症を起こすことがある。


4 本剤の投与により、高カリウム血症が現れることがある。


5 アミノ酸輸液製剤との混合を避ける。




問199(物理・化学・生物)
ナファモスタットメシル酸塩製剤に亜硫酸塩を含む注射剤を混合した場合、及び混合しない場合の残存率の経時変化を求めた(図1)。また、pHと分解速度定数との関係も求めた(図2)。これらのデータから考えられることはどれか。2つ選べ。ただし、これらの実験は37℃で行った。
スクリーンショット 2017-04-04 18.10.12.png


1 残存率の対数と時間との間に直線関係が認められることから、2次反応とみなすことができる。


2 残存率R(%)との分解速度定数kの関係はk=-2.303log(R/100)/tで表すことができる。ただし、tは時間を表す。


3 亜硫酸塩なし、pH5〜7の範囲において、加水分解反応は酸触媒作用により促進される。


4 亜硫酸イオンは、触媒作用により分解速度を増大させる。


5 図のデータから加水分解反応の活性化エネルギーを求めることができる。

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問 198    
問 199    

 e-REC解説

問198 解答 1

1 誤っている
本剤を生理食塩液で溶解することにより、白濁あるいは結晶(塩化物の白い結晶)が析出するおそれがある。そのため、本剤は生理食塩水で溶解しない。

2 正しい
本剤を膵炎の急性症状の改善に用いる場合、通常、ナファモスタットメシル酸塩10 mgを5%ブドウ糖注射液500 mLに溶解し、約2時間前後かけて点滴注入する。

3 正しい
本剤が血管外漏出すると、注射部位が炎症またはそれに伴う壊死を起こすことがあるため、薬液が血管外に漏れないよう注意する必要がある。

4 正しい
本剤を投与した場合、腎からのカリウム排泄抑制、ナトリウム排泄促進等により、高カリウム血症又は低ナトリウム血症が現れることがある。

5 正しい
アミノ酸輸液製剤の中には、電解質や亜硝酸塩含有の製剤があり、本剤と混合すると白濁あるいは結晶が析出するおそれがある。


問199 解答 2、4

1 誤
残存率の対数と時間との間に直線関係が認められるのは、1次反応である。

2 正
1次反応においては、以下の式が成立する。
スクリーンショット 2017-04-04 18.10.25.png
よって、残存率R(%)との分解速度定数kの関係はk=-2.303log(R/100)/tで表すことができる。

3 誤
図2の亜硫酸塩なしのグラフから、pH5〜7の範囲において、pHの上昇により反応速度定数kが増大していることがわかる。このことから、加水分解反応は塩基触媒作用により促進されると考えられる。

4 正
図1において、亜硫酸塩ありの方が亜硫酸塩なしより傾きが大きく、また、図2において同じpHで比較したとき、亜硫酸塩ありの方が亜硫酸塩なしより分解速度定数が大きいことより、亜硫酸イオンの触媒作用によりナファモスタットメシル酸塩製剤の分解速度が増大すると判断できる。

5 誤
図1、図2から、加水分解反応の活性化エネルギーを求めることはできない。

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