令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 202,203

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問 202  正答率 : 77.4%
問 203  正答率 : 48.0%

 国家試験問題

国家試験問題
52歳男性。身長168 cm、体重81 kg。3年前に2型糖尿病と診断され、食事療法と運動療法に加え、内服薬での治療を行ってきた。しかし、仕事の都合で食事が不規則になり、低血糖症状を経験したため、内服薬を自己判断で中止していた。今回、血糖コントロール不良のため、インスリン導入目的で入院となり、以下が処方された。また、この患者は、定期的に血糖自己測定を行う予定である。

スクリーンショット 2024-07-12 12.32.01.png

問202(実務)
この患者に病棟担当薬剤師が行う教育的指導の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 原則、毎日同じ時刻に注射する。


2 カートリッジにひびが入った場合は、漏れがないことを確認してから使用する。


3 液に濁りが生じたときは、カートリッジを振って均一な懸濁液にして使用する。


4 注射は皮膚面に対して45度に傾けて打つ。


5 注射後は、針ケースを注射針にまっすぐ取りつけ、針ケースを回して注射針を引っ張って取り外す。




問203(物理・化学・生物)
血糖値の簡易測定の一つにグルコース酸化酵素を用いる方法がある。この方法では、酵素反応により生じた過酸化水素が電極で酸化されて電流が発生するので、この電流を測定する。その反応は以下のとおりである。

スクリーンショット 2024-07-12 12.36.55.png

患者の血糖値が90.0 mg/dLであったとき、測定した血液1 µL中で生じた電気量に最も近い値はどれか。1つ選べ。
ただし、グルコースの分子量を180、電子1 molの電気量を9.65×104クーロンとする。また、血糖値はグルコース濃度を表し、反応により生成する電子はグルコース由来とする。

1 4.83×10-4クーロン


2 9.65×10-4クーロン


3 1.93×10-3クーロン


4 4.83×10-3クーロン


5 9.65×10-3クーロン

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問 202    
問 203    

 e-REC解説

問202 解答 1、5

ゾルトファイ配合注は、持効型インスリン製剤のインスリン デグルデク(遺伝子組換え)とGLP−1受容体アナログのリラグルチド(遺伝子組換え)の配合剤である。

1 正
本剤に含まれるインスリン デグルデクは持効型インスリン製剤であり、1日1回毎日同じ時刻投与することで安定したインスリン濃度を維持することができる。

2 誤
カートリッジにひびが入った場合は、使用しない。

3 誤
本剤は無色澄明の注射液であり、液に濁りが生じたり変色した場合は使用しない。

4 誤
本剤は皮膚の面に対して垂直(90度)に注射する。

5 正
インスリン注射の針は毎回新しいものを使用するため、注射後は、針ケースを注射針にまっすぐ取りつけ、針ケースを回して注射針を引っ張って取り外す必要がある。


問203 解答 2

濃度90.0 mg/dLの血液1 µL中のグルコース(分子量180)の物質量[mol]を求める。

スクリーンショット 2024-07-12 12.48.10.png

反応式よりグルコース1 molからH2O2 1 molが生じ、そのH2O2 1 molから電子(e)2 molが発生する。つまり、グルコースの2倍の物質量[mol]が電子の物質量[mol]である。
すなわち、電子の物質量[mol]は5.0×10-9 mol×2=1.0×10-8 mol
電子1 molの電気量は9.65×104クーロンであるため、生じた電気量は下式によって求められる。

1.0×10-8 mol×9.65×104クーロン / mol
=9.65×10-4クーロン

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