平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 204,205

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問 204  正答率 : 73.2%
問 205  正答率 : 68.5%

 国家試験問題

国家試験問題
75歳男性。体重70 kg。脳梗塞により右半身の麻痺があり、処方1の薬剤を服用していた。その後、嚥下機能が低下し誤嚥性肺炎を起こし入院したが、刻み食を食べることができるまでに回復した。血圧の上昇が認められたため、退院時に処方2が追加され、介護者が以下の処方せんを持って薬局を訪れた。
スクリーンショット 2017-12-13 16.52.13.png
問204(実務)
薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 腸溶錠の粉砕指示があるので処方医に疑義照会をする。


2 アスピリン腸溶錠は解熱鎮痛を目的として処方されていると説明する。


3 グレープフルーツジュースは服用時でなければ飲んでも構わないと説明する。


4 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往の有無を確認する。


5 めまいが現れたら直ちにニフェジピンの服用を中止するように説明する。




問205(物理・化学・生物)
腸溶性コーティングを目的とした高分子の模式図として最も適切なのはどれか。1つ選べ。なお、模式図中の官能基については、腸溶化の目的にかなう主要なもののみを示している。また、スクリーンショット 2017-12-13 16.54.01.pngは高分子鎖を示している。
スクリーンショット 2017-12-13 16.54.39.png

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問 204    
問 205    

 e-REC解説

問204 解答 1、4

1 正
アスピリン腸溶錠は、錠剤表面に腸溶性コーティングを施しており、粉砕することによってコーティングの皮膜が壊れる。そのため、原則として粉砕はできないので、疑義照会する必要がある。

2 誤
アスピリンは、低用量(100 mg)で血小板凝集抑制作用を示す。今回の処方では、アスピリン腸溶錠100 mgが1日1回で投与と指示されており、なおかつ本患者は脳梗塞の既往歴があることから、血栓・塞栓形成の抑制を目的に処方されていることを説明する。

3 誤
グレープフルーツジュースの成分が小腸CYP3A4を阻害することにより、ニフェジピンの小腸における代謝が阻害され、ニフェジピンの血中濃度が上昇する可能性がある。そのため、同時服用以外もニフェジピン服用期間中は、グレープフルーツジュースの飲用を控えるように説明すべきである。

4 正
アスピリン腸溶錠は、消化管粘膜障害を引き起こし、潰瘍性出血を来すことがある。そのため、消化性潰瘍の既往歴がある患者には、消化性潰瘍を再発させるおそれがあるので慎重投与しなければならない。それゆえ、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往の有無を確認する必要がある。

5 誤
ニフェジピン腸溶細粒の服用時に、降圧作用を伴うめまい、ふらつきを起こすことがあるが、急な服用中止により症状の悪化を引き起こすことがある。そのため、めまい等が現れた場合は直ちに医師または薬剤師に相談するように説明し、自己判断で中止しないように指導する。


問205 解答 3

腸溶性コーティング剤には、胃内の酸性条件下で溶解せず、小腸内の中性〜アルカリ性条件下で徐々に溶解するような高分子化合物が用いられる。一般的に、酸性を示す官能基を有する化合物は、酸性条件下では溶けにくく、アルカリ性条件下で溶けやすい。そのため、腸溶性コーティングを目的とした高分子化合物には、分子内に酸性官能基であるカルボキシ基が存在する高分子が最も適切である。

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