平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 204,205

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問 204  正答率 : 74.9%
問 205  正答率 : 72.0%

 国家試験問題

国家試験問題
インフルエンザ流行時には、多くの患者が診察に訪れ、判定用キットによる検査が行われる。

問204(物理・化学・生物)
図はインフルエンザウイルス抗原を測定するためのイムノクロマトグラフィーの原理を表している。本法に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2018-08-31 17.59.50.png


1 本法を用いた判定用キットは体外診断用医薬品に区分され、測定試料として鼻腔ぬぐい液や咽頭ぬぐい液などが用いられる。


2 本法による判定は目視で行うことができるため、特別な装置は必要としない。


3 Aの部分はコントロールラインとよばれ、標識抗体に特異的な抗体①が固定化されている。


4 Aで発色が認められ、Bで発色が認められなかった場合は陽性とはいえず、再測定する必要がある。


5 標識抗体は、金コロイドや酵素などにより標識されている。




問205(実務)
あるインフルエンザ判定用キットは、表のような結果を与えた。
スクリーンショット 2018-08-31 18.00.59.png

このキットの感度と特異度の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2018-08-31 18.01.42.png

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問 204    
問 205    

 e-REC解説

問204 解答 3

インフルエンザの検査には、インフルエンザウイルス抗原を測定するイムノクロマトグラフィーの原理を利用した体外診断用医薬品の迅速抗原検出キットが用いられる。迅速抗原検出キットの主な特徴は以下のとおりである。
・鼻腔ぬぐい液や咽頭ぬぐい液を用いる
・目視(発色の有無)で判定できる
・検査時間が30分以内である
・A型ウイルスかB型ウイルスかを判定できる
・特別な装置を必要としないため、一般の診療機関で気軽に検査ができる

迅速抗原検出キットの測定原理は、抗原抗体反応を利用した免疫法によるもので、判定部にはインフルエンザA型とB型それぞれのウイルス核タンパクに対するマウスモノクローナル抗体がライン状に塗布されている。この抗体は、インフルエンザ以外の抗原とは反応しないことが確認されており、検体に含まれるインフルエンザの抗原が判定部の抗体と結合すると、試薬の成分によって、青色や赤紫色に発色する。この発色により抗原の有無を確認することができる。発色させる方法は、製品で異なり、酵素免疫測定法(抗体を酵素で標識し、基質と反応させて発色させるもの)や金コロイド法(抗体に着色粒子として金コロイドを結合させたもの)などが用いられる。以下に本キットの原理を図で表したものを示す。
スクリーンショット 2018-08-31 18.04.08.png


1 正しい
上記参照

2 正しい
上記参照

3 誤っている
Aの部分は判定ラインとよばれ、抗原に特異的な抗体①が固定化されている。

4 正しい
Bの部分はコントロールラインと呼ばれ、抗原と結合しなかった標識抗体がコントロールライン上に固定化された抗体に捕捉される。このときの発色により、検査の正常な終了を確認できる。そのため、Aの部分(判定ライン)で発色が認められても、Bの部分(コントロールライン)で発色認められない場合は、検査に不備があるので陽性とはいえず、再測定する必要がある。

5 正しい
上記参照


問205 解答 1

感度及び特異度は特定の疾患について、その検査の有用性を評価する指標である。感度は、疾患罹患者中の検査陽性者の割合を表し、その値が高い場合、疾患罹患者数のうち偽陰性者が少ないといえる。一方、特異度は、疾患非罹患者中の検査陰性者の割合を表し、その値が高い場合、疾患非罹患者のうち偽陰性者が少ないといえる。
スクリーンショット 2018-08-31 18.05.50.png
よって、インフルエンザ判定キットの感度は80.0%、特異度は98.0%となる。

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