平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 204,205

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問 204  正答率 : 69.4%
問 205  正答率 : 53.5%

 国家試験問題

国家試験問題
58歳男性。がんの転移の有無を診断するため、フルデオキシグルコース(18F)を用いた陽電子放出断層撮影法(PET)検査を実施することとなった。

問204(実務)
フルデオキシグルコース(18F)を用いるPET検査に関して誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 本剤は虚血性心疾患の診断にも用いられる。


2 投与前から撮像までは安静にする。


3 本剤は血漿中でほとんど代謝されずに存在し、未変化体のまま排泄される。


4 画像のコントラストをあげるために、同時にグルコースを服用する。


5 炎症部位等に集積し、偽陽性所見を呈する可能性がある。




問205(物理・化学・生物)
PETに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 11C、18F、201Tlはいずれも陽電子を放出する核種であり、PETに利用される。


2 PETで用いられる18F核種は、18OにX線を照射することで製造される。


3 放射性核種から放出された陽電子は、生体内の電子と結合して、ほぼ180度の方向に2本のγ線を放出して消滅する。


4 PETはX線CTと組み合わせることにより、安定同位体で標識した薬物の体内動態を画像表示することができる。


5 PETの核医学画像からは対象臓器の機能情報は得られない。

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問 204    
問 205    

 e-REC解説

問204 解答 4

1 正しい
本剤は悪性腫瘍、虚血性心疾患の診断に用いられる。

2 正しい
体を動かすことにより、本剤が筋肉などへ集積することがあるため、添付文書に「本剤投与前から撮像前は安静にして、激しい運動は行わないこと」と記載されている。

3 正しい
本剤は血漿中でほとんど代謝されずに存在し、未変化体のまま排泄される。血漿中における本剤の放射化学的成分は、投与後2時間において約99%が代謝されずに存在し、尿中における放射化学的成分は、投与後6時間まで約89%が未変化体として存在する。

4 誤っている
本剤とグルコースを同時に投与すると、グルコースが病変部に集積し、本剤が病変部に集積しにくくなるため、画像のコントラストが低下する。

5 正しい
本剤は標的臓器以外の炎症部位等に集積し偽陽性所見を呈する可能性がある。


問205 解答 3

1 誤
11C、18Fなどの陽電子を放出する核種は、PETに利用される。しかし、201Tlはγ線放出核種であり、PETには利用されない。

2 誤
18Oに陽子を照射すると、中性子1個が陽子1個に変換されるため、原子番号が1増えた18Fになる。この原理を利用してPETで用いられる18F核種は、18Oに陽子を照射することで製造される。

3 正
放射性核種から放出された陽電子は、生体内の電子と結合して、ほぼ180度の方向に2本のγ線(消滅γ線)を放出して消滅する。

4 誤
PETはX線CTと組み合わせることにより、放射性(不安定)同位体で標識した薬物の体内動態を画像表示することができる。

5 誤
PETは、他の核医学検査(SPECTなど)と同様、生体の機能情報を得ることができる方法である。

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